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PDF 団長の独り言 2017.01.28-2

1月28日(土) 「大成功」

受付開始15分前、受付リーダーの小路さんが、
メイク直しをしている私の元にやってきた。

「ロビーの階段の下までお客様がお並びで、
劇場の外まで列ができているので、
受付開始前ですが、受付を開始しますね。」

その報告を聞き、楽屋にいる誰もが
「よし!」と気合をいれる。

今回は、満席でキャンセル待ちの
お客様も大勢お越しになるのが
事前に分かっていたので、受付リーダーの
小路さん、三尾さん、望月さん、
そして恒士郎という
信頼の置いているリーダー達と、
本番の1週間前から
何度も何度も打ち合わせを
重ねてきたので、本当に安心できる。

私は心置きなく、劇団代表から
役者・平野恒雄になる。

メイク済ませ、衣裳を着て、
化粧前の鏡に映る「郡津健太郎」に
「よろしくな!」と挨拶をしたら、
鏡の中の「健太郎」は力強く微笑んでくれた。

「それでは開場しまぁーす」

という舞台監督さんの声が
楽屋の廊下に響き渡ると、
先ほどまで静まり返っていた
モニターに映る客席が、
賑やかになり始める。

いつもなら、そのモニターを
何気なく眺める余裕もあるのに、
今回は、すぐにはモニターを見ることもせず
台本を見直し、自分の台詞をチェックするが、
なんだか落ち着かない。

本番開始5分前、
大勢の人で埋め尽くされている客席。
その観客のざわめきが聞こえる
緞帳幕の中に全員集合し円陣を組む。

「本番だからって言って
余計なことはせず、稽古通りにやろう!
これまでの自分を信じて!仲間を信じて!」

とかそんなことを私が言って、
全員真ん中に手を伸ばし、
「行くぞ!」「おー!」
とお客様に聞こえない
ささやきの声で気合を入れ、いざ出陣!

「郡津健太郎」は客席前方の扉を開け、
歌いながらの登場となるので、
私は舞台袖を離れ、扉前にスタンバイし、
幕開きを待つ。

1ベルが鳴り、
ボイス・エマノンさんのアナウンスが入り、
2ベルが鳴り、場内がゆっくり暗くなると
アマティーのピアノ演奏が始まる。

そして、これまたアマティーの演奏する
ハーモニカでの「テネシーワルツ」。

静かに物悲しい音色が、
会場内に響き渡るのと
同時にゆっくり緞帳幕が上がる。

冒頭のハーモニカの演奏を聴いていると、
これまでのドタバタを乗り越え、
無事に幕が上がったことに対し、
感極まってしまい涙が出てくるが、
感傷に浸っている場合ではない!
そう!ここから全てが始まるのだから。

「好きにならずにいられない」

の演奏が始まると、私はスイッチが入り、
ピンスポットに照らされながら、
満席の客席に飛び出し、芝居の世界に突入だ。

どの役者も、出だしから好調!
やがて役者とお客様が一体となって、
どんどん物語が進行し、
大きなミスもなくついにエンディングとなる。

本番1か月を切った時に2人の役者が降板。
その時も「大丈夫!大丈夫!」
と己に言い聞かせ、
メンバーが不安にならないよう
常に進む方向を示し、

「みんな、絶対に大丈夫だから!」

と明るく振る舞うが。
それでも実はすっごく不安・・・

だけどそんなクヨクヨさを見せないように、
まさに今回の「すぽっとらいと」のテーマである
「頑張る精神」とみんなの明るさに励まされ、

「これ以上のハプニングが起きませんように!」

と毎日祈る気持ちで
劇場入りの日を迎えれば、
積み込みのトラックが来ない!

「神様はどこまで試練を
与えてくだされば気がすむんだ!」

と思ったけれど、
それでも「大丈夫!大丈夫!」と
己に言い聞かせ、その困難も乗り越え、
場当たり中、今まで切れたことのない
「マイ・懐中電灯」の紐が切れたり
靴の紐が切れたりと「不吉」な現象が起きても、

「絶対に大丈夫!」

とずっとみんなを信じて迎えた本番が、
あとはフィナーレで歌を歌えば終わる!

その最後のステージに出て行き、
お客様の笑顔を見ると、
もうだめ!歌えない。
涙が込み上げてきて歌えない。

でもフィナーレは明るく笑顔で!

ってみんなに指導してきたのだから、
私がメソメソするわけにもいかないので、
声を張り上げ笑顔いっぱい、
苦労を共にした全ての関係者と共に歌い上げ、
今回も笑顔いっぱいのお客様に見守られ、
大成功で幕を下ろすことができたのでした。

ご来場いただいた皆さま、
応援してくださった皆さま、
本当にありがとうございました。
これからも、
劇団ふぁんハウスを
よろしくお願いいたします。