Page26 -「場当たり・・そして初日へ」


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団長の独り言 2017.08.13-3

「場当たり・・そして初日へ」

いよいよ場当たりの開始。
場当たりとは、
稽古場では絶対に出来なかった、
劇場での暗転の場面転換、
照明の当たり具合、マイクや効果音の
バランスチェック、そして
役者の立ち位置の確認作業のことを
場当たりという。

これらの作業は、
私もスタッフさんも、
劇場入りするまでは、
経験からくる「想像の世界」で
話を進めて来たのだが、

いざ劇場に舞台セットを立て込み、
場面転換などおこなってみると、
私の演出通りに事が運ばない事もあり・・・。

それでもなんとかして、
平野恒雄が思い描くステージにすべく、
舞台監督さんを筆頭に、
全スタッフさん達が
神経をピリピリさせながら、
各シーンごと、チェックを行っていく。

その今回の場当たりで、目についたというか、
かなりイライラしたのは、
役者達の場当たり中の態度。

舞台監督さんが、

「では、まずは暗転チェックから行きます」

と言って舞台を真っ暗にすると、
ステージ上の女性の役者達が、
口々に「見えないー」「わからない」を連発。

穏やかな舞台監督の高橋さんは、
その役者の声を静かに受け入れ、
対策を練ろうとしてくれてはいるが・・・。

そもそも暗転は暗いのが当たり前であり、
稽古場で行う蛍光灯の下での転換と違うのは、
全くもって当然のことであるのに、
初舞台の役者達じゃあるまいし、
「暗ーい」「見えなーい」と、
ピクニックのようにはしゃいている姿に、
プロのスタッフさん達は、
きっと呆れているに違いない。

さらには暗転確認の時だけでなく、
シーン○○と○○の転換を
やりますって言ったら、

やる前から
「袖にある椅子があると、
暗転中にスタンバイするのは
多分難しいです・・・」

とか、

「何々さんとぶつかるような気がします・・」

とか・・

好き勝手な弱気発言の嵐。

あのね・・・
これもまずはやってみて、
それで問題が発生すれば
解決する方法を探るのが場当たりなわけで、
やりもしないうちから、
「無理」と決めつけるのには参った・・・。

そうかと思えば、
音響さん、照明さんが
タイミングなどうまく行かない箇所で、
インカム越しに、神経をピリピリさせながら
頭をひねっている時に、

舞台上で待機している
役者は暇なものだから、
ペチャクチャおしゃべり・・

一応は何かしらの
確認をしているのだろが、
スタッフさん達は、
かなりピリピリしてんだよね・・・。

いい加減、もうスタッフさん達に
恥ずかしくて、申し訳ない気持ちになり、
私は皆に喝を入れる。

それにしても、
何をそんなに浮かれているのか?
こんな浮かれた状態で大丈夫なのか?

かなり心配になりながら、
一応はこの日の場当たりを終了し、
明日の朝、続きは行うことにする。

8月10日(木)初日。

朝7時、澄み渡る青空ではないが、
この日も雨は降っていない。

8月に入ってから毎日のように、
どこかの時間帯で雨が降っているから、
曇り空でもよしとして平野カーに乗り込む。

先日、劇団倉庫から劇場まで
予想以上の大渋滞に見舞われたので、
かなり余裕を持って家を出る事に。

エンジンをかけ、
駐車場から車を出しオーディオを操作する。

劇団ふぁんハウス第1回公演の時から
ずっと続けている、今で言う所の
成功へのルーティーンとでも言うのかな?

自分自身の気持ちを高め、
気合を入れるために、
ハウンドドッグのフォルティシモという曲を
大音量でかけ、いざ出陣!

20代の頃は、ハウンドドッグのライブに
何度も通ったくらい好きだったのに、
今じゃー本番の初日しか聞かない曲に
なってしまったけれど、
この曲を聴くと、やっぱり身が引き締まる!

「♪激しくー昂ぶるー
夢を眠らせるなぁー♪
溢れる想いを諦めはしないー♪」かぁ。

そうだよなぁー
いくつになっても
この気持ちを大切にしなきゃ!

ノリノリで車を走らせていると、
渋滞はそれほどひどくもなく、
余裕を持っての劇場入り。

舞台上には、
既に照明さん音響さんが、
様々な作業を行っている。

その準備の様子を
楽屋モニターで眺めつつ、
精神を落ち着かせ、
30分ほどのフリータイムの後、

出演者、スタッフ全員舞台に集合し、
ふぁんハウスの神様でもある
明治神宮の小さなお社を舞台中央に祀り、
皆で首を垂れ、

千秋(鈴木千秋)大明神の祝詞とともに
成功祈願を行い、
全員の気持ちを一つにして、
昨日の場当たりの続きをたっぷり行い、
リハーサルの時間を迎えたのでした。