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団長の独り言 2018.04.08

4月8日(日) 「夢めぐりの舞台」

なかなか決まらなかった役も、
新たなるメンバーが
徐々に参加してくれるようになり、
稽古場は賑やかで、
ますますいい雰囲気だ。

稽古自体も、
これまで「代役」でやっていた箇所が
「本役」で行えるようになり、
なんとなく「夢めぐり」の輪郭が
見えてきた。

ただ私が描いた
「素人考えの舞台図面」の中で、
とりあえず皆さんに
動いてもらっているので、
矛盾点も出てきて、なんとも申し訳ない。

正式な図面が舞台美術の三井さんから
送られてくるまでの間、
イマジネーションを膨らませつつ、
みんなが私をフォローしてくれる中、
稽古を行ってます。

そもそも私は、繊細なようで
かなり適当って、よーく言われる。

作品を描く時も、
感覚と思いつきだけで
ガンガン描いているので、

「季節に対する矛盾」
「時系列に対する矛盾」

が、毎回結構あり、
その都度、演じる役者から
指摘や質問を受ける始末・・・。

ちゃんとした脚本家の描いた脚本って、
すごく細かいディテールまで
計算して描いてあるので、
演じる役者も役作りがしやすいものだが、

それに比べ私の脚本は、計算なんて一切なく、
行き当たりばったり的なところがある。

それでも十何年も、
お客様が楽しんでいただく芝居を
行えているっていうのは、

出演者の皆さんが、

「平野恒雄の世界」を、
脚本からなんとか読み取ってくれて、
「役者の技量」で
矛盾点にリアリティーを持たせ
それを「正当化」し、
「嘘」を「本当」にしてくれるから、
毎回、お客様からも関係者の皆様からも、
高い評価をいただけているんだよね。

いやはや、
本当に感謝しております。

その「夢めぐり」なんですが、
何度もお伝えしているように
10年前に上演した作品でして、

最初書き上げた時は、
こんな脚本で大丈夫かな?と
とっても自信のない作品だったのです。

そもそも描こうと思ったきっかけというのは、
2007年の8月だったかなぁ?

本家の伯父さんの葬儀のため、
数十年ぶりに親父の故郷でもある
宮崎県延岡市というところに
行った時、
「山、海、旭化成の工場、温かい人々」

そして

「偉大なる平凡の中の幸せ」

ってものに感動してしまい、

自分の人生と、
大好きな「延岡」を掛け合わせた
作品が描きたくなり、
気がつけばパソコンのキーボードを
叩いていたのです。

子供の頃の平野少年は、
夏休みになると、祖母や伯父・伯母、
そしていとこ等の親戚がいる
「延岡のおじちゃんの家」へ
家族みんなで、よーくお邪魔した。

時に飛行機で、時にフェリーで、
そして弟と二人で「彗星」って
いう寝台列車で・・・。

だから平野少年にとって、
「延岡」というところは、
「大好きな場所」だった。

それが私が中学生の時、
人生の大転換ともいう出来事があり、
家族もてんでバラバラになりまして、

私は中学生で一人暮らしを余儀なくされ、
波乱万丈の少年期を過ごし、
すっかり「大好きな延岡」とも疎遠になり、

それでも「夢」は捨てなくて、
私は18歳で上京し、「役者」を目指した。

25歳になった時、
刑事ドラマの犯人役でゲスト主演の役をいただき、
エンディングのエンドロールでは、
二番手で私の名前が出た!

その後も、テレビドラマや映画、
そして商業演劇の大きな舞台に
結構出演させていただけるように
なったけど・・・

それでも普段は、バイト、バイトで
生活に追われる日々だった。

だから金銭的な余裕はまるでなく、
熊本の叔父叔母の葬儀や、
祖母の葬儀にも参列出来ず、
不義理な事をしてしまい・・・

あんなに大好きだった延岡が、
ますます遠くなってしまっていた。

やがて月日は流れ、
プロの役者ではなくなった平野少年が
44歳となった夏のある日、
延岡の「おじちゃん」の訃報。

「これは何がなんでも
葬儀には参列しなきゃ!」

と予定を調整し、数十年ぶりに
延岡へと向かえば、
昔と変わらぬ延岡の街が私を出迎えてくれた。

駅前の雰囲気も、
平野板金の佇まいも昔のまんま。

ただ変わったのは、
大好きなおじちゃんが、
いなくなってしまったって事。

葬儀は無事終わり、従兄弟の
精一にいちゃんに連れて行ってもらった
城山の頂上から見た、
山と海に囲まれた延岡の街の素晴らしい事!

そして山を降り、
街の中にある喫茶店に顔を出せば、
マスターの飾らない笑顔!

「いいなぁー」って、
しみじみ思ってしまった。

そんな時、フッと「夢めぐり」の構想が
頭をよぎり、この作品は完成した。

フィクションだけど、
ノンフィクションな部分も多々あるので、
地味な作品ではあるけれど、
セリフのひとつひとつに、
私の人生が込められている。

その「夢めぐり」が、
再びふぁんハウスのステージに蘇る。

一体、今回はどんな展開になるのかな?
メンバーのほぼ揃った
立ち稽古の演出をしながら、
色々な思いを巡らせる団長でありました。