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団長の独り言 2019.02.9

「コラボレーションから生まれる喜び」(Amatias)

「団長の独り言」をご愛読の皆さま、
約4ヶ月ぶりのご無沙汰です。
Amatiasです。
公演後の独り言は何週かにわたって
特別編でお送りしていますが、
新作執筆中の団長に代わりまして、
今回はAmatiasがBGMでの様々な楽器との
コラボレーションの話題を中心にお届けいたします。

これまでのふぁんハウスの上演史上
もっとも早い1月5日に、
「新春特別公演」と銘打って上演しました
「夢めぐり in 板橋」、
まだお正月気分が冷めやらぬ時期にもかかわらず
大勢のお客様にお越しいただき、
誠にありがとうございました。

無事に幕が閉じて1ヶ月が過ぎましたが、
まだあのときの舞台の余韻が蘇ってきたり、
ある時は末吉家の人たちと過ごしている夢を
見たことも何度もありました。
それほど、「夢めぐり in 板橋」の舞台には
たくさんの思い出が刻み込まれました。

そして、今回公演のBGMでは
池田開渡さんの非常にすてきなバイオリン演奏で
真新しい風を吹き込んでくれたことも、
まだまだ記憶に新しいところだと思います。
ふぁんハウスのこれまでの舞台でも、
たくさんの楽器とのコラボレーションを経験してきましたが、
ピアノだけではどうしても表現しきれない部分を
補ってくれるという役割以上に、
私にとっては新たな命が生まれる瞬間に
立ち会うような感覚なんです。

他の楽器とコラボレーションすることが決まったときは、
まずはメロディーの部分を楽譜に書き起こして、
頭の中でその楽器の音を鳴らし、
イメージを組み立てるところから始まります。
そしてイメージがある程度固まったところで、
それぞれの楽器の音でメロディーを弾いていきながら、
イメージを具体的な形にしていきます。

毎回の公演で使用している電子ピアノには
何十種類もの音色が搭載されていて、
現在の物は本物の音色と
大差ないほど精巧に再現できるので、
それぞれの楽器の特性が
BGMとどう化学反応が起きるのか、
漠然としていたイメージが
一気に膨らむことも少なくありません。

10年前の上演も含めて、
4回の夢めぐりの舞台の中では全くタイプの違う
三通りのコラボレーションが生まれました。

力強さがありながらも、
どことなく物悲しさをたくさん秘めた
トランペットで盛り上げてくれた初演と八王子公演では、
夢めぐりのテーマにも懐かしさの他にも
生気や快活さが宿っていたんだなぁと、
10年前のDVDを見て改めて感じています。

節目の10年の時を経て、メロディーの部分が
トランペットからアルトサックスに変わり、
「もう少し懐かしさを前面に打ち出して欲しい」
という団長からのダメ出しを受けて、
美和ちゃん(平野美和)と試行錯誤を重ね、
テンポを遅くしてゆったりと演奏をすることで、
懐かしさや家族のさりげない温かさなどの
表現にこぎつけました。

アルトサックスの音色は
こういった表現に適しているなぁということは、
初回のイメージを掴む段階でかなり確信が高く、
稽古はもちろん自主的に行った合わせ稽古でも
充実した時間を過ごしました。

迎えた本番でも、重厚なサックスの音色で
大自然の中の旧家で暮らす家族の何気ない日常や、
百合子の葛藤の中の奮起を感じ取ることができました。

そして、今回の板橋公演では、
およそ9年ぶりにバイオリンとのコラボが復活し、
池田開渡さんとの初合わせでは
「素晴らしい」という一言では語れないほどの
過去2回の舞台の良さをそのままに、
哀愁漂う音色にどぎもを抜かれました!
池田さんは稽古や本番でも
とても合わせやすくて楽しいと
言ってくれていましたが、
合わせようという気持ちよりも音色に自然と引き込まれ、
そこで感じたその時の思いをそのまま音符にしていた
というのが正直なところでした。

これらのコラボレーションを成功させる秘訣の一つに、
互いの音楽の好みやジャンルを超えた
コミュニケーションを取ることにあると思っています。

どれほど素晴らしい音楽を作っていても、
お互いがぎすぎすしていたり
感情をぶつけ合うようなことが起きてしまうようでは、
息の合ったコラボレーションは生まれないんだよなぁということを、
積極的にコミュニケーションを取りながら肌身で痛感しました。

楽器は全く違いますが、
この三通りのコラボレーションから
「夢めぐりのテーマ」にそれぞれに心温まるような
新しい命を吹き込んでくれ、
どの楽器とのコラボレーションも、
私にとっては大切な宝物となりました。

間もなく次回公演に向けての稽古が始まりますが、
固定概念にとらわれることなく
新しい要素をうまく取り込みながら
皆さんの心に残るようなBGMを生み出していきたいと、
次なる目標に向かって気持ちを新たにしているところです。