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団長の独り言 2019.03.17

「改定を繰り返す脚本」

前回の読み合わせを聞いていて
感じたのは、説明セリフが多すぎ!

この登場人物にはどんな過去があり、
どんな性格なのか?
ダラダラと説明しながら
しゃべるものだから、
一人一人のセリフがながーい!

脚本というよりも、
話し言葉だけの小説って感じに
なっていたので、
こりゃーだめだ・・・と思い、
一旦完成した脚本のスリム化作業を、
この1週間でずっと行いまして、
本日2度目の読み合わせ。

おおお!ほぼ全てのキャストが
稽古場に顏を揃える。

本読みの段階でこれだけのメンバーが
稽古場にいるってのが、
劇団ふぁんハウスでは実はとっても珍しい。
始まる前から、
なんとなくみんなウキウキしている感じが
稽古場の雰囲気をとってもいいものにする。

本当ならば、せっかく
ほぼすべてのキャストが顔を揃えての
読み合わせなのだから、
この1週間でかなりスリムにした
改訂版の脚本を使っての読み合わせを
行いたいところではあるのだが、
稽古開始ギリギリまで
修正に次ぐ修正を行っていたので、
プリントアウトが間に合わず、
しょうがないので、今日の読み合わせも
一番最初に皆さんにお配りした
小説のような脚本を使っての稽古を行う。

まずは司会者役の佐野さんのセリフから
芝居が始まる。

「では、佐野さんお願いします」

声をかけると、
彼は読み合わせであるにもかかわらず、
すっと立ち上がり、な、なんと!
すでに覚えてきたセリフを
朗々と語り始めた。

全盲の彼の脚本は「音声台本」。
「音声台本」というのは、
脚本のテキストデーターを読み上げる
ソフトの入った超小型パソコンに
イヤフォンを差し込み、流れる音声を聞きながら
セリフをしゃべるのだが、

我々のように文字を目で追って
セリフを言うのと違って、
一旦セリフを聞いて反復する感じなので、
やや、タイミングがずれてしまう。

読み上げの速度は、
私には聞き取れないくらいの
超ハイスピードなのだけど、
それでもどうしてもタイミングがずれるのは、
これはしょうがないのだが、
ただ、読み合わせ段階で
タイミングがずれるというのは、
会話が成立しないので、
正直キツイものがある。

では、それをカバーするには
どうしたらいいか?

以前、劇団ふぁんハウスにいた
全盲の役者、竹本和弘というメンバーも
そうだったけど、
それは人一倍早く覚えるしかないのだ。

しかし短いセリフならまだしも、
とても長いセリフを誰よりも早く
完全に覚えてしまうっていうのは、
並大抵のことではない。

その「やる気」はすごいよね。
まさに「障害があろうがなかろうが、
熱意とやる気があれば
本物の芝居ができるはずだ!」
という劇団のスローガンを実践してくれている。

そんな佐野さんのやる気に
私も稽古ののっけからスイッチが入り、
舞台セットの構想も何も決めていないのに、
彼に動きをつけていく。

「佐野さん、そのセリフを言うときはね、
(平野ポーズを取る)こんな格好で・・・
ちょっと俺の腕を触ってみてくれる?」というと、
すると佐野さんは、
私の腕や手がどうなっているのかを
実際に触って確認をして、
私がやったポーズをまねる。

今度は佐野さんがとったそのポーズに
私が微調整を施す。

「えっとね、手のひらはこうで・・
腕はこんな感じで・・・」

もうここ何年も目の見えない役者が
劇団ふぁんハウスには入ってこなかったので、
こうした演出方法は久々だ。

20数年前、
劇団ふぁんハウスを立ち上げたとき、
みんなで試行錯誤を繰り返し、
「障害を持った人達のための劇団」ではなく、
「障害を持った人もいる劇団」ってことで、
活動を続けてきた。

しかし、回を重ねるごとに、
メンバーとの摩擦も増え、
なかなかお互いに理解し合えず、
何度も何度も解散の危機があり、
それでも、私なりの「本物の芝居」ってのに
こだわり続けていると、
とうとう障害を持った「役者メンバー」が
いなくなってしまった・・・。
(音楽では皆さんご存知、アマティアズが
現在も大活躍している)

それでも劇団ふぁんハウスは
「障害を持った人もいる劇団」で、
「本物の芝居を目指す!」
ってスタンスは変えず、ここまでやってきた。

そんな中、久々に飛び込んできた佐野さん!
今の劇団の趣旨にすごく共感してくれて、
賛同してくれている。
色々大変なことも多々あるとは思うけど、
頑張っていきましょうね。

さてその読み合わせだが、
私はパソコンに入っている改訂版と、
みなの読みを比べていると、
「長いな!」と感じるセリフが
まだまだあったので、
その場でバッサバッサ切りまくっていく。
いやはや・・・
それだけ独りよがりで描いていたんだねぇ。

でも、もう大丈夫!次回も全キャストが
稽古場に顏を揃えてくれるからね!

次回の稽古までには、
改訂版の脚本を皆さんにお配り致しますので、
よろしくお願いしますねぇ。