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団長の独り言 2019.04.18

「山ありさらに山あり!」

前回の稽古では、
「なんとなくこんな感じの舞台セット案」の中での
立ち稽古だったのだが、
その後、舞台セット案を改良したのが良かったのか、
場面転換でのアイディアも次々と浮かんできた。

なにせ「明日への旅路」という作品は、
前回の団長の独り言に描いたけど、場面転換がすごく多いので、
今回は場面と場面を繋ぐ際、極力「暗転」というものを
省こうと考えている。

そこで昨日今日の稽古では、
暗転の入らない場面転換を行う実験稽古となった。

でもあの・・・実験と言っても、
当然ながら、なんの変哲もない
殺風景な稽古場なので、
照明は変化しないし、舞台セットと言っても、
パイプ椅子をやたら並べ倒しているだけなものだから、
「ここは赤坂区民センターの舞台だ!」
というイマジネーションを膨らませ、
そのイメージを皆さんに共有して貰いつつ、
稽古を進めていった。

「上手(かみて)前が消えた!
すぐに下手(しもて)奥の台の上に明かりが
クロスして入った!間をおかないでね!」

「役者がハケたら
同時に舞台前に明かりが入るので、
自分が座る椅子を持って、セリフを
言いながらさりげなく芝居を始めて!」

「セリフのあと、
すぐに照明がカットチェンジするから!
ボサボサしない!」

こんな感じで、「暗転」なしで、
ポンポンと場面が変化していくことを想定した
指示を出す。

もちろん
実際の舞台セットの中での転換だと、
きっと問題点がたくさん出てくるので、
こんな簡単にはいかないのは分かっているけれど、

これから三井さんに舞台図面をお願いするにあたり、
一応、私がどういう事をしたいのか?ってのが
明確じゃなきゃ話は先に進まないので、
現時点においては、私なりに考えた場面転換で、
どんどんと稽古を進めていく。

そんな転換を絡めた稽古と
同時並行で行ったのが、脚本の直し!

今回、「明日への旅路」の稽古に
突入するにあたり、出来立ての脚本を、
Y・Tさんという方に読んでいただき、
率直なる感想を頂戴するという事を行った。

Y・Tさんは、
前回、初めて劇団ふぁんハウスの
お芝居をご覧になった方で、
観劇後、劇評をわざわざ劇団宛てのメールに、
送ってくださったのだが、
その内容がすごいんですわ。

的確で具体的で、
「なるほど!」って事ばかりで、
単なる批判メールではなく、
そのご指摘に愛情を感じたのです。

そこでこの度、
お会いしたこともないY・Tさんに、
連絡を取らせていただき、

「脚本を読んでいただけますか?」

って唐突なお願いをしたのですよ。

これって、
実はとても勇気のいる事でして、
だって「これで行こう!」って思って
苦労して描き上げた脚本を、
どんな方なのかも分からない、
会った事もない方に読んでもらって、
評価をいただくのだから・・・。

かなりの冒険ではあったのかもしれないが、
もうーこれは直感ですね!
この人ならば、必ずちゃんと
読んで下さるに違いない!って。
本気でそう思ったんです。
それほど、Y・Tさんの劇評は
素晴らしいものだったのですよ。

その私からの申し出を、
Y・Tさんはなんと!快諾して下さり、
大変恐縮しつつ、台本をお送りした数日後、
来ました!来ました!Y・Tさんからのお返事。

ドキドキしながら開封すると、
すごい!すごい!

指摘をしていただく部分を、
わざわざコピーして下さり、
丁寧に、しかもとってもわかりやすく、
赤ペンで添削して下さっている。

普通、この添削されたものを見るやいなや、
「こんなに矛盾点、疑問点があるのかぁ・・・」
って、作者ならば落ち込むはずなのに、

「そうかぁ!」「なるほど!」「へぇー!」

って気づかされる指摘ばかりなので、
すべてのご意見、ご指摘を
すんなり受け入れられる自分がいた。

早速稽古場にて、
みなにその指摘箇所を伝えると、
誰もが私と同じ感想で、
「そう言われてみれば、確かにそうね。」
「そっかぁ・・・そういう考え方のお客様も
確かにいらっしゃるよね」

等々、みんなもとても感心しつつ、
納得してくれた。

そこで、「では、どうするか?」という事を
全員で話し合った。

中には、前々から「おかしいなぁ?」と思える箇所に
気づいていた役者もいたそうで・・・
でも、そこは「そういうものだ」と自分を納得させ、
役作りをしていたんだって。

そうなんですよ・・・出演者目線だとね、

「役者たるもの、
脚本を忠実に表現しなきゃいかん!」

ってのが大前提にあるからね、
疑問点があっても、作者に疑問をぶつける前に、
自分の中でその疑問点を正当化して演じようと
する習性があるので、
意外と脚本全体を客観的に見るって事を
しない場合がありましてね・・・。
(よほどおかしな箇所は別だけどね・・・)

だからこそY・Tさんからの忌憚のない
的確なご指摘はとてもありがたい。

こうして動きの面と、根本となる芝居の面を、
シーン1から順を追って見直していく稽古を、
この2日間でビッシリ行った。

どの役者も手探り状態だし、
きっと、脚本をまだまだスリムにする必要も
あるだろうし、
これから山ありさらに山ありの稽古になると思うが、
活気に満ち溢れている今回のメンバー達ならば、
明るさで乗り越えてくれるような気がする。

14人の出演者の中で、
私よりも年上のメンバーが5人もいるってのが、
また頼もしいですわ。(皆さん十歳以上年上!)

自己満足の身内受けする芝居には
したくない!

もちろん、好き嫌いはあるだろうから、
すべての人が評価して下さる作品にするのは
不可能だろうけれど、
今までの成功で満足する事はせず、
これからも「本物の芝居」ってものを目指し、
さらにレベルの高い演劇を作る覚悟を持ち、
いい年をした大人達ががむしゃらになって、
真剣に「明日への旅路」に
取り組んでいこうと思うのでありました。