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団長の独り言 2019.05.06

5月6日(月・祝)

「中村敦夫さんに刺激を受けて!」

十連休の最終日、今日も夜から稽古。
昨日の日曜日も、おとといの土曜日も
ビッシリ稽古をしたけれど、中途半端な状態だったので、
今日も稽古が出来るというのは非常にありがたい。

しかも今日の稽古は、
全メンバーがちゃんと顏を揃えてくれるので、
かなり充実した稽古が期待できる。

昨日も稽古終了後、
みんなで飲み会をしたけれど、
稽古場では知りえないみんなの姿と接するってのも
いいものだなぁ〜ってしみじみ思う。

でもね・・・その昔、この「飲み会」って、
私はあまり好きではなかった。

それこそ20代前半に所属していた
一応?プロの劇団にいた頃、
稽古終了後、
必ずと言っていいほど飲み会があった。

始めのうちはそれなりに楽しい雰囲気なのに、
皆さん酒が進んでくると、
他の「売れている劇団」と、
「売れている役者」の批判ばかり・・・。

「自分達のやっていることが
世界で一番正しいんだぁ!」

って感じで盛り上がって、
先輩達が意気込んでいる姿を見ていると、
なんだからしらけちゃってね。

いつも心の中で、
「なんか違うよなぁ・・・」
って思っていた。

そんな気持ちが強く出てきたものだから、
当然ながらその劇団自体の運営方法や、
あんなに尊敬していた演出家の言う事ですら
反発心が芽生えてきて、
挙句の果てには、「舞台演劇」そのものにも
嫌悪感すら抱くようになり、
25歳の時、その劇団を辞めて、
プロダクションの所属俳優となり、
今でいうところの、
「小劇場」での芝居からは目を背け、
様々なテレビドラマや映画の仕事をいただき、
ゲスト主役も、何度となく経験し、
役者として喰っていける時期が6、7年ほど続いた。

そんな頃かな?中村敦夫さんと出会ったのは?
当時の事務所の社長が中村企画に移動したので、
私もそのままくっついて中村企画の所属となり、
付き人として、敦夫さんが主演を務める映画にも
出演させていただく何てこともして、

参議院選挙に出馬された時も、
公示日前から敦夫さんにべったり付き添い、
真夏の選挙も戦ったし、
また、敦夫さんが主催する「劇団東京クラブ」で、
大蔵省(現・財務省)の官僚を批判する芝居
「RATS」に出演して、都内各所をめぐり、
敦夫さんの凄さと迫力をずーっと身近で感じていた。

その後色々あり、
子供にも金がかかる年齢に差し掛かり、
悩んだ末、堅気の人生を歩むようになった・・・。

しかしその数年後、私はあんなに嫌悪感を抱いていた
劇団なんてものを立ち上げて、気が付けば20年の時が経ち、
「劇団ふぁんハウス」は私の人生そのものになってしまって、
飲み会でのコミュニケーションの大切さを、
噛みしめながら現在に至るなんだけど、
それでも、お世話になった中村敦夫さんの動向は
いつも気になっていた。

その敦夫さんが、
「朗読劇」で全国各地を回られているってのを知り、
いつか行きたいなぁーって思っていたのだが、
昨日ついにその機会が実現し、
千葉県野田市まで行ってきました!

「線量計が鳴る」
作・演出・主演・中村敦夫

野田市にある「欅ホール」という素敵な劇場。
ロビーも広々としていて、客席もゆったりしているし、
舞台面には上手・下手に花道もあるし、タッパもあるし、
キャパは300くらいかな?
(劇団ふぁんハウス公演にピッタリの劇場!)

客席を見渡せば、超満員!
私は運よく前から二番目の席を確保する事が出来て、
ドキドキしながら敦夫さんの登場を待つと、

線量計を地面近くにかざしながら、
前かがみで歩いてくる「老人」が登場する!
やがて「老人」は、上手前のサス明かりの中に入り、
線量計の値を確認し、「高いなぁ~」とつぶやく。

敦夫さんが登場した瞬間に、涙が出てきた。

なんだろうなぁ?懐かしさとか、
あの頃、自分なりにがむしゃらになって
敦夫さんに仕えていた日々とか、
敦夫さんに教わった色々な事とかが、
走馬灯のように蘇り、
久々に聞く生の敦夫さんの声に引き込まれていく。

原発がいかに恐ろしいものか?
福島の原発が収束に向かっているような空気が
流れているけれど、
実はまったくそんなことなくて、
今でも原発の被害や恐怖に苦しんでいる人達が
大勢いるって事などを分かりやすく、
そして強く!強く!
福島の老人役の敦夫さんが訴える。

その内容はすさまじいもので、
79歳の敦夫さんは2時間立ちっぱなし、
迫力ある芝居を演じられていた!

「なぜ79歳にもなって、
このような公演を続けているのか?」
「そのエネルギーはどこからくるものなのか?」

それは、
二つの「怒り」、「公憤」と「義憤」だそうだ。

いやぁ~変わらないなぁ~
私の知っている数十年前の敦夫さんと全然変わらない!
カーテンコールでそう語る敦夫さんの言葉を聞き、
また涙する私。

終演後、
楽屋に顏を出すかどうか悩んだけれど、
恐る恐る楽屋に行き、開け放たれたドアから
ひょっこりはんのような姿勢で顔を出せば、
敦夫さんは最高の笑顔で私を迎えてくださった。

「おー!!なんだ!どうした!?よく来たなぁー」
「どうも・・大変ご無沙汰いたしております」
「どうだった?俺(の考え方・生き様)は相変わらずだろ?」
「はい!」
「君も変わらんなぁ~」等々・・・。

約20年の月日が流れたけれど、
そこには私の知っている中村敦夫がいた。

本当は芝居の感想とか、今の自分とか、
色々話したい事はたくさんあったのに、
師匠を前にすると何も言えませんわ・・・。

それでも、劇団ふぁんハウス公演
「明日への旅路」のチラシはちゃんとお渡しして、
深々と頭を下げ、
敦夫さんからたくさんの元気をいただき、
私は気合を入れて稽古場へ向い、
いつもよりも、熱い熱い稽古を繰り広げたのでした。

敦夫さん、本当にありがとうございました。
どうか、これからもお元気に、
そしてパワフルにご活躍ください。

中村敦夫さんの独り芝居
「線量計が鳴る」
作・演出・主演・中村敦夫

全国各地で毎月上演しておりますので、
ぜひとも皆様も足を運んでみてください!

詳細はこちら!
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