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団長の独り言 2019.05.19

「熱意とやる気!それが最大の武器!」

とあるシーンが苦戦しておりました・・。
本人達が一生懸命なのはすごく分かるんだけど、
あれでは「お楽しみ演芸会」。

経験不足のメンバー達だから、
どうやっていいのか分からないってのも
あるのだろうけど、

なんてーのかなぁ?
まったくもってエンターテイメントじゃない。

もうねぇ・・
ダメを出す気力すら出てこないほど、
どうしようもないシーンとなっていた。

こういう場合、
平野演出ではどうするかと言えば、
演じる役者のレベルに合わせて
脚本を変更するのです。

何度ダメを出しても、
私が意図する芝居を見せる事の
出来ない役者さんがいると、
その役者の個性や技量に合わせて、
脚本を変えてしまう。

今回もそうするしかないか?と考えたが・・・
このメンバー達が
全員登場する他のシーンでは、
テンポもいいし、
観ていてとても面白いので、
皆さんには出来ない事はないはずだ。

それなのにどうしてこのシーンは、

「あの・・・何やってんですかぁ?」

みたいな芝居になってしまうのか?

これでは人様にはお見せできない。
仕方がないので脚本の内容を
変更すべく色々と策を練る・・・・

あれをこうしてあの役をこうして・・・

しかし、どういじくっても、
その後に続く大事なシーンに繋げる事が出来ない。

そうなると残る手は、シーン丸ごとカットして、
前後のストーリーも変更して、
強引につじつまを合わせるという
大手術を施すしかない。

一生懸命にやっている役者達にとっては、
すごくつらい事だろうけれど、
作家である私にとっても、
シーンをカットするなんて、
本来絶対にやりたくない・・・。

でも出来ないものはしょうがない。

「このシーン・・・カットします」

と私は声を絞り出すように言った。

すると、

「団長、1週間時間を下さい。
それでもダメならば、
このシーンは切っていただいて結構です。」

と、
そのシーンに登場する役者達が私に訴える。

いやぁ〜まいったなぁー。
こういう「やる気」に私は弱い。

30秒ほど沈黙してから、

「分かりました・・・1週間待ちましょう」

と私は静かに伝え、その日の稽古は終了。

正直、このレベルの芝居が
1週間でどうのこうのなるのは
不可能だとその時思ったけれど、
皆さんの「やる気」に期待してみる事に。

その稽古から2日後、メンバー達が都内の
カラオケボックスに集まり、
自主稽古を行うという情報を得る。

「カラオケボックスで芝居の稽古なんて
出来るわけないだろう・・・」

とその時も思ったけれど、
ちょうどその日仕事が早く終わったので、
いてもたってもいられなくなり、
午後7時すぎ、
カラオケボックスの部屋に顏を出すと、
隣の歌声が漏れてくる
狭い部屋であるにもかかわらず、
メンバー達は熱心に稽古をしているではないか!

聞けば午後3時からずーっとやっていたそうで、
このあと1時間半はいる予定だというので、
ならばという事で早速成果を見せてもらう。

狭い部屋をフルに使い、
テーブルのレイアウトも多少変え、
まずは「カラオケ喫茶」で歌を歌うシーンから。

伴奏の音源は、メンバーが持参してきた
大きなノートパソコンから流れる
「オリジナル・カラオケ」。

その音に合わせて唄うのだが、
なにせ周りの部屋から、様々な「雑音」が
侵入してくるので、パソコン内蔵の
スピーカーから出ている音では、
小さすぎて聞きづらい。

それでも、メンバー達はすごく集中して、
懸命にそのシーンを演じてみせてくれると!

驚いた!
すごく良くなっている!

こんな環境の悪い中で、
よくぞここまでって感心した。

お世辞でもなんでもない。
平均年齢70歳位?のメンバー達が、
何時間も何時間も
カラオケボックスで稽古をして、
「お楽しみ演芸会」を、
ちゃんとした芝居へと変化させていたのは、
まさに芝居への熱意だね。

もちろん、完成にはまだまだ程遠いけれど、
それでもダメを出せるレベルにまで
仕上げたのはすごい!

残り約1時間、私も上着を脱ぎ、
みんなと一緒になって
汗をかいたのは言うもまでもない。

熱意とやる気があれば年齢は関係ない。
こうしたメンバー達の一生懸命さが、
いつも劇団を支えてくれているのだなぁーって、
つくづく思いつつ、

稽古終了後、
エネルギーを使い果たしたみんなと共に、
笑顔いっぱいの中、
ステーキ定食をおいしく食べました。