Page18–「昼夜稽古に突入しまじろう」


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団長の独り言 2019.06.30

「昼夜稽古に突入しまじろう」

「カラオケ喫茶・門出」でのシーンで、
小坂主任が

「河内森和世の代表曲・明日への旅路を
お願いしまじろうぉ~」

って言っていた。

特に何がどうって事もない、
つまらない「オヤジギャグ」なんだけど、
本編の内容にも直接関係ないけれど、
私の頭の中で「何々しまじろぉ~」って響きが
気に入っていたので、
いつかどこかの芝居で使うって思っていて、
今回勇気を振り絞って、
小坂主任に喋ってもらう予定だったんだけど、
残念ながら上演時間の関係で、
この「しまじろう」絡みのセリフを
どっさりカットしてしまったのだ。

はぁーぁ・・・
こんな意味のなさそうなセリフでも、
いざカットするとなると、とっても辛いね。

さて、昨日から昼夜連続稽古がスタートしたので、
昨日も今日も相当細かく芝居を見直し、
セリフがうろ覚えの役者の多い中、

昨日は芝居の前半、
今日は芝居の後半部分の通し稽古をしてみたのだが、
いやはやまいった・・・まだまだ芝居全体が長い。

脚本が完成してから、
あれほどカットしまくったのに・・・。

そう!カットした場面だけで、
もうひとつ作品が上演出来るほど
カットしたかもしれない。

それでも前半後半に分けて時間を計ってみたら、
植木等さん風に言うと、
「だ~めだぁこりゃ~」である。

さっきの「しまじろう」じゃないけれど、
私がくだらないシーンを
沢山入れ込みすぎたのが一番の原因。

そんな「お遊び」的なセリフを、
まずはバッサ!バッサ!切りまくり、

これまでの稽古を観ていて、

「このままこの場面を演じてもらっても、
お客様を引き付ける事は出来ない」

と判断したシーンは、
心を鬼にしてバッサ!バッサ!と切った。

こんなにカットして話がつながるのかな?
とやや不安になったけれど、
カットした後は、
物語がスッキリしていい感じになっているから、
いかに私の想いを、
色々と脚本に詰め込みすぎていたか?って事だ。

でも「しまじろう」は残したかったなぁ・・・・
って思いながら、今日の稽古は後半を重点的に行う。

物語の中心人物、演歌歌手の「和世」と
元大実業家、「加瀬」のシーン。

「加瀬」と「和世」は恋人同士だったんです・・・
何十年も前にね。
そんな二人の芝居、
本日、昼間の抜き稽古の中で、
和世演じる睦子さんが
「和世の感情」を演じてしまい、
「作り物の芝居」になっていたので、

「和世」の生い立ちや、「和世」のこれまでの人生等を
睦子さんに説明しつつ、何度もダメを出し続けていると、

私の言葉の何かが睦子さんの心に届いたのだろう、
さっきまでの芝居はどこへやら!
自然な感情が沸き起こって、
感極まりセリフが言えなくなり、
ついには芝居を止めてしまうほど感情移入してしまう。

「睦子さん!続けて」
と私が囁くと、睦子さんは嗚咽でセリフが
言えなくなるのを抑えながら、
なんとかセリフを言いきる。

そしたら、それを受ける習志野さん演じる
「加瀬」も涙を流しての熱演。

稽古場の誰もが涙を流しながら、
二人の芝居を注視する。

よぉーし、このシーン行ける!
と思った反面、嫌な予感もした。

上手く行ったという油断と自信が、
変な方向に向かなきゃいいがと思いつつ、
夜、部分通しをやってみたら・・・
嫌な予感は的中。

全体的に間延びするし、ほとんどの役者達は
「なんか違うぞ?」って感じながら演じているから、
完全に芝居が噛み合わなくなってしまっている。

最後まで通すつもりでいたが、
もう観ていられなかったので、
途中で芝居をストップさせる。

昼の稽古では、
「睦子さん・習志野さん効果」で、
全員集中してすごくいい芝居を魅せてくれて、
「これを待っていた!」って思えたのに、
みんなが上手くいった感覚を追って芝居をしたがために、
かえっておかしな事になってしまったのだ。

実は本番の時もこういう現象って起こるもので、
初日はガチガチに緊張している中で行うので、
気合とか一生懸命さで、
意外と大評判を得る芝居が出来てしまう事は
多々ある。

そこで二日目の芝居では、
初日のウケた感覚、上手くいった感覚を
ついなぞってしまうのですわ・・。

でもそれが今度は全然上手くいかず、
二日目の芝居では、ガタガタ状態。

「二日目芝居」「二落ち」なんて言葉も
演劇界ではあるくらい、
上手くいった後の芝居って怖いもの・・・。

まさに今日のみんなは、
この「二日目芝居」が強烈に出てしまった。

次回、照明さんがお越しになるので、
「荒通し」になってしまうだろうけれど、
イチかバチか通し稽古を行ってみる。
(本番と同じように最初から最後まで
続けて演じる稽古)

上手くいった感情をなぞらずに、
もちろんダメだった感覚も忘れて!
まっさらな気持ちで、
いい作品を目指しまじろう。(もういいか)