Page25 –「幕があがりました。」


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団長の独り言 2019.07.27-④

「幕があがりました。」

初日の朝、暑い!夏だよ!夏!
梅雨明け宣言は今日にも出されるでしょう。
台風が来るとかどうとか言っていたけれど、
そんな気配もまったくない。

これは幸先がいい。
いつものように平野カーに乗り込み、
早速、ハウンドドッグの「フォルティシモ」を
カーオーディオから流す。

この儀式?は20年前の旗揚げ公演の
初日の朝から、変わらずずーっと続けている。

劇団ふぁんハウスの第1回目の公演の時は、
この先20年以上もこんな儀式を続けるとは
これっぽっちも考えていなかったけれど、
すごいね〜劇団ふぁんハウス!
ハウンドドッグというグループは消滅したけれど、
劇団ふぁんハウスの勢いは衰えない!

「フォルティシモ」を聞くとね、今でも気合が入り、
「よぉーし!やったろうやないか!」
って気持ちになれるんだよね。

♪「おまえの涙も 俺を止められない
いまさら失う ものなど何も無い
言葉にならない 胸の熱いたぎり
拳を固めろ 叩きのめされても
激しくたかぶる 夢を眠らせるな
あふれる思いを あきらめはしない
愛がすべてさ いまこそ誓うよ
愛をこめて 強く強く」♪
(作詞:松尾由紀夫・作曲:箕輪単志)

発声練習もかねて、
大声で歌いながら劇場へと向かう。

途中、予想を上回る大渋滞にはまり、
こりゃー間に合わないかぁ?という事が
一瞬脳裏をよぎったが、首都高を途中で降りて、
究極の抜け道を駆使しまくり、
集合時間には楽屋に到着出来た。

余裕を持って家を出たつもりだったのだが、
急に夏になった最初の週末を
侮っていたのを反省する。

楽屋に顏を出せば、よし!みんないる。

初日の朝、
誰かひとりでも欠けたらアウト!
みんな当たり前の顏をして楽屋にいるけれど、
それって奇跡なんだといつも思う。

そんな奇跡に感謝をして、
ケガも事故もなくちゃんと来てくれたみんなに感謝をして、
ホッと一息、美岐や恒士郎が買ってくれた
納豆巻にホットコーヒーにサンドイッチを
化粧前でほおばり、ステージに顏を出せば、
照明さん音響さんが様々の作業を行っていて、
準備に余念がない。

9時15分、
役者、スタッフ関係者全員ステージに集合し、
にわか作りの祭壇に明治神宮の神様を安置して、
アマティアズの祝詞に合わせて首を垂れ、
成功祈願を行う。

成功祈願を終えると、
すぐさま昨日の場当たりの続きから。

まずはステージ上のスリーミ─、ソファーセット、
観葉植物等のすべての道具類を
暗転中に舞台袖に運び出すという、
ラスト前の大がかりな大転換から。

出演者、スタッフ総出でやってみたのだが、
まったくうまくいかない。

そこで経験浅い役者陣のいる上手に
私が入り陣頭指揮をとり、
下手は舞台監督の高橋さんが陣頭指揮をとるという
形で行えば、暗闇の中での大転換もうまくいき、
その後に続くエンディングまでの場当たりも
順調に進み、1時間の休憩を経てゲネプロ開始。

ゲネプロというのは、
本番と全く同じ状態で行うリハーサルの事で、
本番直前、最後の最後の確認を行う事だけど、
これまでの通した中で一番いいってくらいテンポも
芝居もいい感じで無事ゲネプロも終え、
リハーサル室に全員集合してもらい、
最後のダメ出しを終え、さぁ!やるぞ!と
気合を入れたみんなは、
各自楽屋で思い思いの時間を過ごす。

午後2時15分。
「開場しましたぁ〜」という舞台監督さんの声。
お客様が続々と客席に入って来られる姿が
楽屋モニターに映し出されると、楽屋の空気が変わる。

開演5分前。
準備の整った出演者全員緞帳幕の内側に集合し、
円陣を組み、円の中心でみんな手を合わせ、

「いくぞ〜お〜!」

の掛け声で、
各自がそれぞれのポジションに着き、
緊張と興奮の渦巻く中、初日の幕が上がった。

前回号でも描いたけれど、
幕が上がった瞬間、客席から大きな拍手が
沸き起こったのには驚き、感動してしまう。

しかし、実をいうと私、
ガチガチに緊張してしまっておりまして・・
そんな中、堂々と演じている共演者のみんなが
とっても頼もしく、そんなみんなに引っ張られ、
「明日への旅路」の初日公演は、
無事幕を下ろすことが出来た。

客席から温かい拍手をたーくさん頂戴したのだが、
でもどうだろうか?
お客様は楽しんで下さったのだろうか?

ちょっとドキドキしつつ、
お客様のお見送りのためロビーへ向かえば、
笑顔、笑顔の華が咲いている。

様々なお客様が私に握手を求めて来て下さり、
「素晴らしかった!」
「この作品、あんたが描いたの?感動したよ!」
「涙が自然と出てきました」等々
次々と声を掛けていただく。

知人・友人も大勢来ていたのだが、
普段辛口の劇評をする友人も、
なんだかいつもと違って目がウルウル・・・。

ただ小さなトチリは結構ありまして、
主宰者としては、どうにもこうにも納得の行く
初日ではなかったのだが、
楽屋に戻り頂戴したアンケートに目を通すと、
またありがたい感想ばかり。

ドキドキハラハラの初日は、
とりあえず「成功」って言っていいのかな?と
ホッと胸をなでおろし、
夜は劇団メンバーとスタッフさんとで
軽く初日打ち上げを赤坂の居酒屋で行い、
明日に備えたのでした。