Page8 –「いい作品が出来上がる予感」


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団長の独り言 2019.11.24

「いい作品が出来上がる予感」

土曜日の稽古は雨、しかも寒い・・・
気温が8度とか9度とかで。

そんないきなりやってきた
真冬の気候の中でも、
稽古の重要性を認識しているみんなは、
ちゃんと稽古場に顏を揃えてくれる。

芝居を行う者にとって、
稽古に来るというのは、
とっても当たりまえの事なんだけど、
だけどやっぱり嬉しい!

欠席者が多いと、
正直「どこ稽古しようか?」って
すごく頭を悩ますからね。

でもなぁ・・・欠席する人には、
それぞれやむにやまれぬ事情も
ある事でしょうから、
しょうがないと割り切っている。

だいたい私自身、
仕事で稽古を休まなきゃいけない時も、
長き稽古期間中の中では1度や2度はある。

だから
「稽古を休むメンバーがいるのも
やむを得ない」と己に言い聞かせ、
やるべき稽古を行っている。

しかし、昔、昔、
私が芝居ってものを始めた十代後半の頃は、
「(生活の糧となる)バイトが休めないから
稽古を休む?ふざけるな!」
「風邪ひいて熱が出ようが、
腰を痛めようが、はってでも
とりあえず稽古場に来い!」

って言われていたし、
またそういうモノだと思っていた。

というか・・稽古を休めば、
ただでさえ数少ないセリフや、
出番が削られていく恐怖もあったし、
「役を降ろされる!」
という恐怖もあった・・・。

あとは「休む事」で、
みんなに迷惑をかけるって気持ちが
すごく強かったから、
よほどの事情でもない限り、
「稽古をお休みします」
とは言えなかった。

でもね・・・そんなものを
劇団ふぁんハウスにあてはめてしまうと、
メンバーなんて、
ほとんどがいなくなってしまうから、
そこまでの事は考えてもいない。

とは言えども!毎回多くの方々が
劇団ふぁんハウスの芝居を、
とっても期待して下さっているからね。

今回も板橋区と
板橋区文化・国際交流財団の方々が、
様々な形でバックアップして下さり、
とっても応援をして下さっているし、
毎回、劇団ふぁんハウスの
「成功」を真剣に考えてくれている
受付リーダー達がいる。

だから、
「アマチュア・演劇お楽しみ会」
を披露するわけにはいかないのです。

そうなると、
プロのすごい役者達なんていない
劇団ふぁんハウスでは、
やっぱり稽古を積むしかないんですよね。

こうしたジレンマと戦い続けて、
21年目に突入したけれど、
この日も寒い中、一生懸命来てくれる
メンバー達がいてくれる事に感謝して、
折角稽古に来てくれたからには、

「今日も充実した稽古だった」

って思って貰い、
劇団的にも進歩向上した
有意義な稽古を行うべく、
パワフルに情熱的な稽古を展開した。

その稽古だが、新メンバーが加わった事で、
まったく色合いが変わる場面も多々あるけれど、
新メンバー達の相当な頑張りのおかげで、
最初は初演メンバーと差があったのに、
いい感じでまとまり、テンポも出て、
観ていて自然と笑みがこぼれてしまう。

そんな中、今日、日曜日の稽古は、
なかなか迫力あったなぁ。

睦子さん演じる「和世」と、
習志野さん演じる
「和世の元恋人・加瀬」との
ある場面での事。

睦子さんは、

「ここはねぇー
女性としてはこうして欲しいなぁ」

と相手役の習志野さんに要求すると、

習志野さんは、

「いや、ここは『加瀬』としては、
やっぱり負い目もあるし、
なかなかそういう事は出来ないなぁ・・・」

と二人のディスカッションが始まる。

アラウンド・セブンティーの
大人の男と女のぶつかり合い。
(セブンティー「ン」じゃない。)
若い役者は、この議論には割り込めない。

私は「審判役」として、
しばし二人の議論を静観し、
ある程度に詰まったところで、
演出家とし二人の話をまとめたが、
いやぁーいいなぁー
こういう役者対役者のぶつかり合い!

真面目にちゃんと役作りをしているからこそ、
稽古で二人が常に息を合わせているからこそ、
こんな議論が出来るんだよね。

私の描いたつたない脚本を、
こんなにも大事にして演じてくれる
役者がいてくれるってのがね、
私は嬉しくてねぇ。

箸の上げ下げから指導しながら、
芝居を創っていた二十年前の
劇団ふぁんハウスの稽古場では、
こんな議論はありえなかったもんなぁ。

もちろん、
その二人の議論は全然感情的にならず、
稽古場を嫌な空気にする事もなく、
むしろとても穏やかで、
なんか二人ともすごく素敵だった。

年齢を重ねたからこそ分かる
男と女の感情の交差点が、
前回以上に盛り上がる事は間違いないなぁーと、
しみじみ感じた今日の稽古でした。