Page18 –「まもなく開演です!」


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団長の独り言 2020.02.02

「まもなく開演です!」

残暑厳しい9月より稽古を始めた
「明日への旅路 板橋公演」。

あれやこれやで年末年始を迎え、
節分前日の本日、
全ての稽古スケジュールを終えた。

そう言えば、ちょうど1年前、
2月の中旬くらいかな?
苦労に苦労を重ね、
もう完成しないんじゃないか?って
思いながらも、ひたすら執筆活動を行い、
「明日への旅路」って作品が誕生した。

劇団ふぁんハウスは、
設立してから今年22年目になるのだが、
それまで脚本なんて描いた事もなかった私が、
十数本の作品を世に送り出したけれど、
昔描いた作品の「続編」的な作品に
挑戦したのはこの「明日への旅路」が初めて。

そうなのです。
この「明日への旅路」という作品は、
劇団ふぁんハウスで何度となく上演してきた
「すぽっとらいと」の続編なのです。

あれは、かれこれ26年も前の事・・・
役者としてようやく食えるようになって、
テレビや映画でそれなりの役も
貰える役者になったのに、
色々とありまして、
「役者」という職業を辞める決意をして、
人生初の「職安」に行った。

確か・・・渋谷の職安だったよなぁ。
家から近いのは飯田橋のはずなのに、
どうして渋谷の職安に行ったのか?
全然覚えていない。

ほら、
何せ「役者」なんて職業だったものだから、
当然ながら「失業保険」なんてものには縁がなく、
職安で面倒な手続きをする必要もなかったので、
それほど「職安」の重要性を感じていなかった。

ただ、小さい子供も二人いたので、
ちゃんとした「堅気」の人間になるって
決めたんだし、
当時あった就職情報誌の「アルバイトニュース」や、
「ガテン」「フロムエー」って雑誌で、
これまでのような「役者」を続けるための
職業を探すのではなく、
キチンとした仕事を探すためにも、
「職安で仕事を探そう」と思い、
「職安」なるものに、足を踏み入れた。

しかし数多くある職業の中で選んだのは、
「業種:演歌歌手のマネージメント」っていう
項目で募集をしている会社の求人。
まだ芸能界関係に未練があったんだろうなぁ。

それでも役者の事務所を選ばなかったのは、
「演歌歌手ならば畑違いだから
『また役者をやりたくなる』って事はないだろう」
って、多分そんな感覚だったんだと思う。

そこで出会ったのが、演歌歌手のM・Kさん。

で!なんと!そのM・Kさんのバックには、
超大物の誰もが知っている大企業の
実業家さんがついていた!

私はそのM・Kさんと、
実業家さんの夢をかなえるために、
「頑張り屋精神」で、
演歌界の仕組みを必死に覚え、
色々な売り込み大作戦を行ったのだが、

当時の私は、いつも直球勝負だったので、
大物実業家さんに寄ってくる
数々の得体のしれない
自称・音楽関係者達が投げてくる変化球を
受け止めるだけの「したたかさ」がなくて、

やがて精神的に疲れてしまい、
私の事を信頼してくれていた
実業家さんと演歌歌手さんには
大変申し訳なかったのだが、
演歌の世界からサヨナラしてしまったのだ。

そんな不義理な事をした思いをずっと持っていた私は、
Mさんには、どうしても大スターになって貰いたく、
心を込めて描いた作品が「すぽっとらいと」だったのだ。

その「すぽっとらいと」は、
劇団ふぁんハウスの歴史の中で、
何度となく上演したけれど、
中でも佐藤睦子さん演じる「河内森和世」は絶品だった。

私がイメージする
「河内森和世」にようやく出会えたって、
睦子さんの「和世」を観ていてそう思った。

それから数年後、
さぁー新作を描かなきゃ?って物語の核となるべき
モノを探している時、

そう言えば、睦子さん演じる
「和世」のモデルとなった「Mさん」と「実業家さん」って、
その後どうなったのかな?って気になり、
ある日、何気なくインターネットで色々と調べると、
実業家さんの身の回りでは色々な事があったみたいで、
ご自分が創られた会社も買収されたようで・・・

じゃあMさんは?と思い、色々調べてみると、
こちらはまったく分からず・・・。
ネットを見る限りでは私が担当していた時から、
その後新曲は出していないみたいだし・・・。
歌手も続けていないみたい・・・。

きっと2人はもう交流していないだろうなぁ・・・
どうなったのかなぁ?

そんな事を思ううちに、
「すぽっとらいと」のその後が描きたくなり、
まずは睦子さんありきで、
完全なるあて描きで、物語を描き始めた。
(あて描き・・・
その役者のイメージに合わせて脚本を描く事)

つまり、「明日への旅路」は、
「すぽっとらいと」の時のように
私が経験したことを描いた作品ではなく、
勝手に想像して描いた
完全なるフィクション作品なのです。

しかし今日の最終通し稽古で魅せてくれた
睦子さん、習志野さん、竹内さんの
大人の三角関係と、そんな三人を取り巻く
共演者達の最高の熱演に完全に引き込まれ、

「そっかぁー私が事務所を辞めた後って、
Mさんはこうなったのかぁー」
「何はともあれ、
力強く生きているんだなぁ!」

って自分が空想で描いた作品なのに、
自分も出演しているのに、
フィクションだって事を忘れて、
泣けて泣けてしょうがなかった。

それほど素晴らしい作品に仕上がりました。

どうぞ皆様、
ぜひとも劇場へ足をお運びください。
そして様々な事を感じていただければ幸いです。
さぁ!まもなく本番です。