Page25 – 「ありがとう、お父さん・Part1」


劇団ふぁんハウス公演

「ありがとう、お父さん」、

今回も大盛況のうちに
幕を下ろすことができた。

初めての劇場、
初めての脚本だったので、
蓋を開けてみるまでは、
ドキドキの連続だったけれど、

お客様は大変喜んで下さったようで、
アンケートを読み返し、
ホッと胸を撫で下ろしている。

その15周年記念公演

「ありがとう、お父さん」、

今回も仕込みから千秋楽までの様子を
日記形式でお届けいたします。

7月18日(木)

天気は晴れ!

しかも、ここのところ続いた猛暑は
一休みしたようで、朝6時半の時点では
心地よい気候で、これから倉庫で
舞台セット等の積み込みをおこなう
我々にとっては、大変、大変ありがたい。

午前7時、劇団倉庫には、

千秋ちゃん(鈴木千秋)、
ウッシー(牛迫雄大)、
有実ちゃん(林有実)、
ちえちゃん(金城ちえ)

が元気一杯、明るい笑顔で集まっていた。

早速、ソファーセット、小道具、
そして電子ピアノなどを運び出して、
レンタカーのハイエースに積み込み、
満載となった荷物と共に、
一路、麻布区民センターへ。

調布市の倉庫で大道具類の
積み込み作業をしていた

桐野さん(桐野亜希子)
フジモッちゃん(藤元剛史)、

も、無事作業が終了し、
トラックは舞台監督の高橋さん、
舞台美術の翠さんと共に
劇場に向かっているとのこと。

「順調、順調!」

そんなことを思いながら、
これから我らが「夢舞台」を作り上げる
劇場へ到着すると、私達のハイエースと
ほぼ同時くらいにトラックも到着したので、
各スタッフさんにご挨拶を済ませ、
午前9時、定刻通り搬入開始。

出演者総出で搬入口より大道具、
小道具など手際よく運び入れていけば、

その間、舞台上では、
照明の六工房さん達が照明機材の
吊り込み等をおこなっていて、

その作業が終われば、
物語のメインとなる葬儀場、
「ライン会館」のロビーの建てこみ開始。

私は、レンタカーを戻しに板橋まで行き、
今度は受付ブースの道具が
満載の平野カーに乗り換えて、
再び劇場へ戻ってきたら、

出演者達は

「大道具建てこみ班」
「受付ブースセッティング班」
「アンケート等をパンフに挟み込む班」

などに分かれて、効率よく仕事をしていた。

お金のある劇団かプロデュース公演、
もしくは商業演劇とかだと、
これら搬入・仕込み等は、
すべて専門のスタッフにお願いするから、
役者は役者に専念できるのだが、

劇団ふぁんハウスの場合、
これらいわゆる「裏方さん」的な作業も
みんなでおこなっている。

そりゃー
役者は役者に専念できれば、
それに越したことはないけれど、

自分達が演じる公演のステージや、
受付周りを自分達で創っていくのも
意外と楽しい。
(もちろん、真剣に作業しているよ!)

そうこうしていると、朝9時から始まった
仕込みも、時計を見れば、もう午後7時!

それだけ時間が経っているので、
もちろん舞台セットも、
照明も音響も受付ブースも、
ちゃんと仕上がり、
明かり合わせ(シュートという)や、
サウンドチェックも終わり、
いよいよ「場当たり」開始!

これまで各ポジションの
スタッフとして作業をしていたメンバー達が、
「役者」の顔になる時だ。

「場当たり」というのは、
稽古場で照明が暗くなる「つもり」、
ここにふすまがある「つもり」、
ドアがある「つもり」、
「ぶーん」っていう車の音が鳴っている「つもり」

などなど、

「つもり」として稽古してきたものを、
「つもり」ではなく、ちゃんと照明と音響効果を入れ、
舞台セットに役者が立って座って演じてみて、

問題点などがないかどうか?
最終チェックする事を「場当たり」という。

私も「つもり」として頭に描いていたことが、
果たしてイメージ通り行くのか?
演出家としては最後の大仕事みたいなもので、
やはり気が引き締まる。

各スタッフさんとの交信に使う
「インカム」や「トランシーバー」の
チェックをおこなっていた、舞台監督の高橋さんが、

「1ベルから、アナウンス、2ベル・・・
そしてアマティーさんの演奏、
幕開きから○○ページの明かりが
変化するところまでまいりまーす」

と劇場全体に響き渡る声で合図を出し、
場当たりがスタートする。

私は真っ暗になった客席の
一番後ろの席にテーブルを置いて、
小さな卓上ライトで台本を照らしながら、

照明の色具合や、音の響き具合、
そして役者の立ち位置など、
シーンごとに細かくチェックをして、
その都度会場内のマイクを使って、
各ポジションに指示を出す。

その場当たりで、
一番神経と時間を掛けるのが、
シーンとシーンの間にある
暗闇での舞台転換だ。

稽古場と実際の劇場では、
まるで環境が違うので、
稽古場で上手く行っている転換作業も、
大抵は思い通りにはいかない。

距離が違うし、それに暗いし・・・。

特に今回手こずったのが、
葬儀のシーンでの12脚ものパイプ椅子並べと、
役者が上に乗った状態での病院ベッドの出し入れ。

この転換は、出演者が黒子に変身をして
手際よくおこなわねばならないのだが、

いやはやなかなか上手くいかず・・・

だったけれど、
経験豊富な舞台監督さんの指示と
アイディアでなんとかなった。

で、気が付けば、もう午後9時20分。

退館時間だよ!

つづきは明日の初日の午前に持ち越して、
この日の作業は終了した。
(ドライアイスは上手くいくのかなぁ・・・)

つづく。