Page32 –「息のあった芝居」


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団長の独り言 2020.11.08

11月8日(日)「息のあった芝居」

今回の「ざ・クリーンキーパー」という作品は、
大都会にそびえる高層ビルで働く清掃作業員のお話で、
清掃作業員達の控え室での出来事が物語の大半を占める。

朝礼・・・ランチタイム・・・
業務を終えてそれぞれが私服に着替えたひと時・・・
各場面での何気ない会話の中に、
清掃員達の人生を垣間見る事が出来る
シーンが随所にあり、
多い時は舞台上に15人ほどの出演者がいる。

その15人が、あっちに動きこっちに動き、
それぞれが全員と会話をして、
賑やかな場面がたくさんあるのだが、
稽古を始めたばかりの頃は、
15名の役者達の座る位置や、
あちこちに動くタイミング等の交通整理に苦戦し、
会話のテンポ、トーン等も指示しながら稽古を進め、
ようやく物語の終わりまで
一通り稽古をすることが出来たので、
先週、また物語の最初のシーンから
順を追って稽古をしてみたら・・・。

2人だけのシーンや少人数でのシーンはまだしも、
15名全員が登場する「控え室」でのシーンは、
各々のテンポが悪く、エネルギー不足も相まって、
なんともくらーいシーンが続出したため、
結構事細かにダメを出し、
何度も何度も同じシーンを繰り返し、
交通整理をしながら、
「明るく!」「テンポよく!」と、
しつこいくらいにダメを出したけど、
まだまだ役者同士のセリフは噛み合っていないし、
動きも「やらされてます感」が
どことなく見え隠れしていた状態・・・。

それでもすこーしの進展はあったので、
本日の稽古では、
後半部分を集中的に稽古しようと思ったけれど、
前半の時間も計りたかったし、
何よりあれだけ前半シーンの稽古をやったのだし、
おさらいのつもりで、
とりあえず前半のシーンを通してみると!

何か吹っ切れたかのようにエネルギッシュで、
明るく楽しい15名の「クリーンキーパー」達が、
存在感を全面に出し、これでもか!これでもか!と
ぴったりと息の合った
テンポのいい芝居を繰り広げてくれる。

これには驚いた!
おそらく演じているみんなも、
「あれ?なんか楽しいなぁー」
って思っていたんじゃないかな?
だって、昨日までの芝居と全然違うんだから。
いやほんとに!

これだから芝居って分からないよねぇ。
徐々に良くなるのじゃなくて、突然だからねぇー。

ただし、一人でも気を抜くと、
あっという間にテンポも雰囲気も
ガタガタと崩れてしまうから、
そこはやはり集中しなきゃいけない。

またこの前半のシーンでは、
千秋ちゃん、恵ちゃんの2人が演じる
トイレ掃除のシーンもあったのだが、
これまで2人は、何度演(や)っても
嘘くさくて、何がしたいのか
一向に理解出来ない芝居が続き、
その都度ダメを出してもまるで変わらず、
「こりゃーダメだ・・・」と判断した私は、
感情的にそのシーン丸ごとカットした。

すると2人は、知人の紹介で
とあるビルの清掃員として
トイレの清掃業務を体験してきたらしく、
今一度、
そのシーンを見て欲しいとの事だったので、
「試し」にそのシーンを再度やってもらうと、

なんとまぁ!清掃業務体験の成果が如実に表れて、
これまでの「嘘くさいトイレ掃除」とは
全然違って、
とってもリアリティーのある芝居を観せてくれたので、
「トイレ掃除」のシーンは復活する事にした。

その「清掃員体験」で、2人は控え室にも
お邪魔させてもらったそうなのだが、
お世話になった清掃員の皆さんは、
とにかく明るくて、おしゃべりも面白く、
とっても楽しい職場だったそうで、
まさに脚本にかかれているとおりだったとの事。

また登場人物達が
仕事での苦労話等を話すシーンでも、
「そう!ほんとにそのとおりなの!」
と、私の描く脚本に太鼓判を押して下さったそうで、
そういった「本物」の方のご意見は、
作者としては、とても嬉しかった。

こうして、いい感じで前半部分が進んだので、
このあと後半部分を行うと、
「うーん・・・」って感じ。

次回の稽古で、
また細かく稽古を行って参りますよ。       

つづく。