Page29 – 「舞台を終えて・・」広瀬 慎一


7月23日(火)「舞台を終えて・・」広瀬 慎一

ありがとう、舞台を観に来て下さった皆様。
ありがとう、共演者の皆様。
ありがとう、舞台・照明・音響・受付ボランティアスタッフの皆様。
そして、ありがとう、
多分観てくれてただろう5年前に亡くなった親父。

今回の舞台は、最近身内や知り合いを亡くされた方には
とても感慨深いものがあったと思います。
私も父を亡くしているので、
稽古中には何度となくその時の気持ちを思い出し涙しました。
父は突然の死で、私は死に目にも会えずに、
ありがとうを言えないままの別れでした。

千秋楽には84歳の母が観に来てくれました。
きっとその日は親父も上から観てくれていたと思います。
あの時親父に言えなかったありがとう・・・
舞台から一生懸命伝えようとしたありがとう・・・
きっと親父に届いたと思います。

控え室の団長の化粧前には、
小さな額に入れた昨年亡くなった
団長のお父さんの写真が置いてありました。
毎朝写真を見ては、何か心で語りかけているようでした。
そして舞台が始まる前には、
必ずそれを舞台が見えるように
観客席の一番後ろに立てかけていました。

公演2日目だったかな~?
その団長の姿を見ていた私に気が付き
「広瀬さん、この写真怒って見える時と、
笑って見える時があるんだよね、今日はどう見える・・・」
チラッと写真を覗くと、
お父さんはとても優しい笑顔をしていました。
「団長、お父さん笑ってますよ!とてもいい笑顔で!」
と言って振り返ると、団長がちょっと涙ぐんだ目をして、
小さな子供のように嬉しそうに笑っていました。

千秋楽も無事終了。
団長の最後の挨拶・・・
観客席を真直ぐに見て話すお父さんへの感謝の気持ち。
我慢できずに、途中で声を詰まらせました。

観客席の一番後ろに置いていたお父さんの写真は・・・
きっとまた優しそうに笑っていたと思います。

私の親父も笑ってくれたかな・・・

本当に素敵な作品に出演させていただき、
ありがとうの気持ちでいっぱいです。