Page35 –「ユニフォーム決定」


『団長の独り言』PDFファイル(A4サイズ)
↓ こちらからダウンロードできます。
団長の独り言 2020.11.28

11月28日(土)「ユニフォーム決定」

皆さん、セリフも入って(覚えて)、
役の人物の輪郭もはっきりしてきて、
稽古は順調に進んでいる。

そんな中、「クリーンキーパー」の
みんなが着るユニフォームが決定した。

劇中の季節は「夏」って事になっているので、
上は半袖のポロシャツに、
下は一般的なスラックスタイプの作業ズボン。

ポロシャツの左胸には、
今回清掃道具一式に、ユニフォーム等まで
全面的に協力して下さる
「株式会社武翔総合管理」様のロゴマークが入る。

で、そのポロシャツを何色にするかは
劇団で決めてよいとの事なのだが、
何十色もあってどれにしていいやら?
と迷ってしまう。

そこでユニフォームを実際に着て、
作業する役者の皆さんに
選んでもらう事にした。

稽古開始前、プリントアウトされた
色見本に群がるメンバー達が、真剣に色見本を
見ながら、各々が好みの色をバラバラに言ので、
当然ながらなかなか決まらない。

そりゃーそうだ。
各自が好みの色を選んで着る
「ふぁんハウスTシャツ」とはわけが違い、
数十色の中から
たった「1色」に絞らなきゃいけないので、
あーでもない、こーでもないと
なりますわなぁ。

本来ならば、
演出家である私が作品のイメージとして
「この色」って決めれば、
役者達は「ユニフォームはこの色かぁ・・」
で終わる話なんだけど、それじゃー面白くない。

ユニフォームの色を決めるにあたり、
みんなで意見を出し合い、
みんなで決めるという作業は、
役作りという点でも、
チームワークを築くという点からも
かなりいい効果があるはずなので、
私は口出しせずにお任せする事にしたのだ。

はてさて、どうやって決めるのかなぁ?
なーんて高みの見物をする事約30分・・・。
十数名のメンバー達の意見が
なんとなくまとまってきて、
2色にまで絞り込まれたのだ。

すごいよね!
最初は各自が様々な好みの色を主張していたのに、
話し合いに話し合いを重ね、
それぞれの意見を尊重しあい、
ついには2色まで絞り込んだんだから!
これぞまさにチームワーク!

ただ・・・
2色まで絞り込んだはいいけれど、
その2色を選んだ人数が
ちょうど半々となってしまい、
意見は完全に対立・・・。
ここから先が進まない。

困った鈴木千秋が私の元へ来て、
「人数がちょうど半々なのですが・・・
団長はどっちがいいですか?」

と聞いてきた。

いやいや・・・それじゃー
私が話合いに参加しなかった
意味がないじゃないですかぁ!
「みんなで決めるって事」が大切なのだから、

「代表者を決めてじゃんけんで決めたら?」

って言うと、
どちらのグループもどこか不満気。

すると、誰かが「あっ!橘田君だ!」と
この日30分ほど遅刻してくる橘田君の
「票」が入っていない事に気が付いた。

そこで橘田君には
2色のどちらかがいいか?を聞いて、
彼が示した色が、舞台でみなが着る
ユニフォームの色になるという事にした。

勿論、彼が決めた色に対しては、
選ばれなかったチームの人達は恨みっこなし。

ただ橘田君に詳しい事情を話すと、
真面目な彼の事、自分の意見で
ユニフォームの色が決まるって事への
責任の重さとか、
決まらなかった色を選んだメンバー達の
心情とか気にしてしまうだろうから、
決戦投票となる一票だという事は言わず、
かるーい気持ちで選んでもらうように、

「例えば・・・
これとこれだったらどっちがいい?」

みたいな聞き方で、
彼の意見を聞いてみようって話をしていたら、
ちょうど橘田君がやってきたので、
軽ーい感じで聞くと、彼は「そっすねぇー」と
2色の色見本を見比べ始める。

みんなは橘田君にプレッシャーを掛けないよう、
極力平静を装ってはいるが、心の中では、
「さぁー!果たしてユニフォームの色の行方は!!」
という声と、
ドラムロールの「ドラドラドラドラ〜」って音が
鳴り響いているに違いない。

ドキドキしながら橘田君の一言に注目する。

そんな事とはつゆ知らず、しばらく考えた末、
「こっちですね」
と、淡い緑色のポロシャツを彼が選ぶと、
その瞬間、稽古場から歓声があがった!

「えっ!?何ですか?」

と不思議がる橘田君に事の成り行きを話すと、

「そ!そんな重大な事だったんですね!」

とビックリ!

好みの色が落選した竹内さんは、

「なんだよぉー
一生懸命電波送ったのになぁー届かなかった?」

と笑顔で残念がっていると、橘田君は、

「全然、電波は届かなかったです。」

と返す。

二人のやり取りに、皆、大爆笑。

稽古場には、なんとも言えない温かい空気が流れ、
こうしてめでたくユニフォームの色が決定したのでした。

そのユニフォーム!
ぜひ劇場でご覧下さいね。