Page46 –「場当たり」


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団長の独り言 2021.01.29-31 No.3

1月29日(金)の続き・・「場当たり」

17時45分、場当たり開始。
場当たりというのは、
完成した舞台セットを使って、
照明変化のタイミングとか、
効果音やBGMの音質やボリューム等の確認を、
役者の芝居に合わせて行う総合的な確認作業の事。

主にスタッフさんのための確認作業なので、
きっかけや変化のない箇所は、
どんどん飛ばしていくのが一般的。

役者も稽古場と違った環境の中
初めて動くので、
立ち位置や暗転中の動き等、
稽古場では絶対に出来なかった
確認作業が行えるため、場当たりというのは、
役者もスタッフも、めちゃめちゃ
神経を使う確認作業なのです。

特に問題なく、
演出のイメージ通りに事が進んで行けば、
サクサク進んでいくものなんだけど、
場面転換の時間が短く、
またそのわりには芝居が大きく変化する場面等は、
サクサクってわけにはなかなかいかない。

特に大勢の役者の動きが絡む
暗転中での場面転換は、安心できるまで、
何度となく繰り返して確認したくなるけれど、
なにせ時間は限られている。

同じ箇所に時間を費やし過ぎると、
最後のシーンまで出来ずに
一か八かで、
ゲネプロ(すべて本番通り行うリハーサル)を
行うはめになるので、
出来る事ならばどんどんと先に進めたい。

ましてや今回はコロナ禍緊急事態宣言下のため、
劇場の完全退館時間は、
仕込み日、本番ともに20時と決まっている。

ちなみに平時の赤坂区民センターの
完全退館時間は21時30分。

ただでさえ「場当たり」って
たくさん時間が欲しいのに、
1時間30分も短縮された中で、
「パーフェクト」な作業を行わねば
ならないのだから、
こりゃー実はとっても大変な事。

その進行の全責任は、
舞台監督の高橋さんの腕にかかっている。

タイトなスケジュールの中での
場当たりの大変さはよく理解できるだけに、
場当たりが始まる前から、
私にはどこか焦りがあるのに、
まぁー高橋さんのなんと冷静な事。

トラブルがあっても焦る事なく沈着冷静に判断し、
繰り返すべきところはキチンと繰り返し、
焦り感を出さず涼しい顏して「場当たり」を進めていく。

そんな空気を察している音響の野中さん、
照明の土門さんのチームワークもたいしたもので、
どのシーンもどのシーンも
バシッ!バシッ!と決めてくれて、
そうしたスタッフさん達だからこそ、
私も時間がない中であるにもかかわらず、
「ここはもっとこんな照明にして欲しい」
「ここではこんな感じで音を入れて欲しい」と、
私の要望をきっちり伝える。

すると、その要望を受けたスタッフさん達は、
瞬時に私の意図を理解し、
修正を施して再度同じシーンを行えば、
「それそれ!」っていう私のイメージ通りの
色や音を創ってくれて、
いやはや本当に恐れ入る。

勿論役者達にもそうした空気は伝わっていて、
「訳の分からない要望」・・・
いわゆる「わがまま」を主張して、
無駄に時間を浪費させるメンバーは一人もいない。
(例えば、暗転になった瞬間、
暗くて動けないから明るくして・・・。
衣裳の早替えが間に合わないから、
間に合う方法を考えて・・・等、
この期に及んで、
「出来ない」「やれない」のオンパレードで
完全人任せ的な我がまま困ったちゃん。)

とにかく場当たりの時間を極力短縮して、
確認が必要な箇所は、キチンと時間をとって確認して、
かなりいいペースでの「場当たり」は進んでいく。

勿論、
この時も役者は全員フェイスシールドにマスク姿。
ここへ来て、感染対策を怠るわけにはいかない。

こうして、
関係者全員が理性的に行動してくれたおかげで、
スケジュール通り、
「休憩前」までのシーンすべての場当たりを、
時間内に終了させることが出来た。

19時50分、関係者全員完全退館を済ませ、
営業自粛で静まり返った
夜の赤坂をあとにしたのでした。
さぁ!明日は初日だ!

つづく。