Page29 –「心から、ありがとう」(鈴木千秋の独り言)


8月14日 (水)「心から、ありがとう」(鈴木千秋の独り言)

皆様、こんにちは。
公演を終えて、稽古は約1か月の
お休みをいただいています。

夏休み特別編!
ということで今週の「独り言」を担当します
劇団員の鈴木千秋です。

劇団創立15周年記念と銘打って上演した、
第24回公演「ありがとう、お父さん」。

たくさんのお客様にご来場いただき、
大成功を収めることができました。

今回の作品は、団長のお父様が
ご逝去されたという事実をもとに
書かれたフィクションで、

今までの平野作品と違い、
派手な演出や、エンターテイメントを
盛り込んだお芝居ではなく、

リアルに、普通に、
そして登場人物の心情が
丁寧に描かれた作品でした。

実在する方がモデルということもあり、
5月の連休を利用し、団長のお父様の
お墓参りと、現地取材をおこない、
物語の主な舞台となる葬儀場や町を訪れました。

現地の空気に触れ、

「誠実で親切で素晴らしい!」

と団長から話には聞いていた、
葬儀社・清香苑の方にもお会いできたことは、
まさに百聞は一見にしかず、良い経験となり、
演技に生かすことができました。

さて「ありがとう、お父さん」は、
人の死という、デリケートなものを扱っていましたが、
悲しいだけの芝居ではなく、
笑いあり、驚く場面もあり、
想像していた以上にお客様の反応もよく、
随分とお客様に盛り上げていただきました。

私自身、演じていて、
感情の流れで自然に泣けてくる
シーンがいくつもありました。

私が演じたのは、
「亡くなったお父さん」の娘で
三姉妹の長女「祐子」です。

「祐子」はしっかり者の主婦、
だけど、どこか抜けているお姉ちゃんです。

その「祐子」は、芝居の中で「喪主様」という
大役を務めます。

喪主の挨拶のシーンでは、
立ち稽古を始めた当初から、
感情が込み上げて言葉が詰まり、
セリフが言えないことが何度もありました。

そこで、実際に喪主を務めた団長や、
他の方の話を聞き、また色々調べてみると、
喪主の挨拶では、号泣する方も
多いようでしたので、
嘘の感情で芝居をするよりも、
まずは気持ちを優先して、
感情の赴くままに演じてみました。

すると、本当に感情が込み上げて、
セリフも何を言っているのか分からないほど、
あまりにも泣きすぎてしまい、
まさに号泣状態となってしまったのです。

そんな私の芝居に対して、団長から

「そんなに泣くと、
お客様がシラケてしまって、感情移入できない!」

と言われ、

「でもその気持は、しっかり伝えて!」

と、ダメ出しがありました。

その後の稽古では、湧き上がる感情を
抑えてセリフを言うように心がけ、
その成果が発揮できてか、
通し稽古でも、感情がコントロールできる
ようになりました。
(通し稽古・・・本番通り芝居を止めないで
最後まで通す稽古の事)

しかし劇場入りして、舞台セットも仕上がり、
場当たりという、照明や音響、場面転換の稽古で、
喪主の挨拶のシーンをおこなったとき、

今までにないほど
一気に悲しみが込み上げてしまい、
セリフが言えず、声を絞り出すのが
精一杯になってしまったのです。

これには私自身、驚きました。

芝居で泣くことは、
これまでにもたくさんあったのに、
立ち並ぶ舞台セットと照明が作りだす
空間に身をゆだねると、

空気が変わったように、
その場面に気持ちが入り込んでしまい、
思いもよらぬほど感情が溢れてしまったのです。

ただ本番前に、そういった感情を
体験することができたので、
本番では悲しみが込み上げても、
セリフが詰まることはなく、
なんとか演じられました。

一方、団長はと言えば、
初めてのタイプのお芝居を、
初めての劇場でおこなうことへのプレッシャーは、
相当だったようです。

「お客様に受け入れていただけるだろうか?」

と、誰よりも心配していたのは
恐らく団長でしょう。

しかし初日を終えてみると、
その心配も吹き飛ぶほど良い反応!

劇場のロビーには温かい空気が流れていて、
皆、笑顔、笑顔!

真剣に取り組んでいるぶん、
大成功を収めた喜びは一言では
言い表せないほど大きいものです。

様々な反省点もありますが、
お客様の笑顔を活力に、さあ次回!

来年1月18日 (土)、
板橋での再演も決まりました!

この稽古が休みの期間に、
入団希望、出演希望の方々に
お会いしたのですが、
皆さん、やる気に満ち溢れていて、
その姿勢に刺激を受けました。

本当に今から稽古が楽しみです。

どのような形になるか、まだ発表されていませんが、
新たなキャストが加わり、物語もちょっぴり新しく、
さらにグレードアップしてお届けできること
間違いなしです!

皆様、1月18日 (土) の板橋公演、
どうぞご期待くださいね。

さて次週は、誰にも真似できぬ個性の持ち主、
「お父さん」を好演した三田秀さんが
「独り言」初登板、どうぞお楽しみに!