Page24 –「平野組の場当たり」


7月24日(木) 「平野組の場当たり」

場当たりというのは、
セットの組まれた実際の舞台で、

照明がどんな色合いになるのか?

音響効果のレベルは、
どんな感じなのか?

真っ暗の中での舞台転換は
どんな感じになるのか?

等々、稽古場では
絶対にできない部分を、
場面ごとに確認をしていく
作業のこと。

この場当たりで、
キチンと舞台転換などができなきゃ、
本番の幕は開かないので、
舞台スタッフと演出家は、
ピリピリと、相当な神経を使う。

まずは緞帳幕が下りて、
客席にも明かりが入っている、
お客様が劇場に入られた時の状態から
スタート。

開始3分前に予ベルが鳴り、
ボイスエマノンさんの場内アナウンス→
本ベル→客席がゆっくりと暗くなっていく→
アマティーのピアノ演奏→緞帳幕が上がる→
演奏終わる→電話のベル→舞台に明かりが入る
→芝居が始まる。

という幕開きまで一連の、
照明や音響のチェックを行うのだが、
やはり最初の最初である「幕開き」
というのは、すっごく神経を使う。

私は客席のど真ん中に座り、
その「幕開き」を凝視。

いいねぇー!
翠さんの創った素敵な舞台セットに
「朝、昼、夕方、夜」と変化する照明が、
アマティーの演奏に合わせて入ると、
いっそう素敵になる。

演奏が終わると一旦暗くなり、
真っ暗の中で、電話のベルが鳴り響く!
響き具合もいいねぇー。

そのベルを合図に舞台上が明るくなると、
「日本イベント株式会社」
の専務役のさちさんが、
鳴っている電話を取り

「はい、
日本イベント株式会社でございます」

の第一声で芝居はスタート。

そのメインとなる
「日本イベント株式会社」の
照明がまた奇麗な事。

青緑の空をイメージした
バックにうっすらと雲が流れているのが
またいい感じだなぁ。

一連の流れを終えたら、
舞台袖に控えている舞台監督の高橋さんが、
舞台上にひょこっと顔を出し、

「はい、ストップ」

と言って芝居を止めると、
客席の明かりがゆっくりとつく。

そこで私は、調光卓といって、
照明を操作するスイッチが
無数に並んだ、えらくかっこいい機械を
演出席の真横に設置した
土門さんのところへ歩みより、

「朝・昼・夕方・晩」

と変化する照明に対して、
「夜」を早めに出して欲しいという
要望を伝える。

あとは問題はないので、
照明や音響の変化が絡むシーンを
部分、部分に切り取りながら進めて行く。

「野中君、歌合戦から電車の
ガタンゴトンから汽笛のSE(効果音)を、
切れ目なく連続して入れられますか?」

「土門さん、ここもう少し、
全体的に薄暗い感じがいいのですが・・・」

「役者の顔を、
もう少しはっきりと見えるように・・・」

「有紀のエンディングのセリフに
リバーブをかけて欲しい」等々、

ありとあらゆる
私の「こうして欲しい」にも、
全くいやな顔ひとつせず、
色々な工夫を重ね、私のイメージ通りの
音と光を完璧に創ってくれるスタッフさん達。

いちいち、
「でもねー」
「いやぁーそれは難しいなぁ・・」

なんて一切言わないし、
ましてや、

「ここがどうなっても、
よければやってもいいけど・・」

みたいに面倒さからくる
無責任な対応なんて絶対にしない。

「夢のカーテンコール」を
最高の舞台にしてみせる!
という気持ちがあるからこそ、

どんな無理難題の私の要求も、
「分かりました!」で受けてくれる
舞台スタッフさんには、
本当に頭が下がる。

それは、
舞台監督の高橋さんも同じで、
私は高橋さんに、何度助けられたか
わかりゃーしないってくらい
助けられている。

今回は「居酒屋門出」のカウンター
が出る大掛かりな転換で、
暗さに慣れていない役者が、
舞台転換をおこなう際も、
何度も失敗して、「困ったなぁー」って
なっていたのに、さらりと素晴らしい
アイディアを出してくれて、

「無理でしょう」ってものを
「無理」じゃないようにして

しまうんだからたいしたものだ。

あと高橋さんのスゴイところは、
さりげなく、ちゃんと時間表通りに
仕込み、照明合わせ、サウンドチェック、
そして場当たりと、進めてしまうところ。

ちゃんと休憩も取れて、
それでキチンと時間表通り
物事が進んでしまうってのは、
実は結構スゴイことなのだよ。

これは、
「平野組」のスタッフさん達が
スゴイってこともあるし、
皆さんの連携プレーが
なせる技でもあるんだけどね。

そんなこんなで、場当たりは順調に進み、
いよいよ明日、初日を迎えることに
なるのでありました。