Page25 –「初日の幕が上がる」


7月25日(金) 「初日の幕が上がる」

初日の朝、とてもいい天気!だけど暑い!
それ以上に私の心も熱い!
平野カーに乗り込むと、
第1回公演の時からずっとおこなっている
「ハウンドドッグ」の「フォルティシモ」を
大音量で鳴らし、精神統一をして劇場へ。

午前9時楽屋入り。
メンバー全員、元気に怪我もなく
集合しているのがまずは何より。

楽屋でしばし思い思いの時間を過ごし、
それから舞台中央に、
関係者一同が集合して、
倉庫をお護りいただいている
明治神宮のお札を舞台中央に置き、
久々の三田秀の守による
祝詞に合わせて首を垂れ、
成功祈願をおこない、しばしの休憩後、
舞台監督の高橋さん主導で、
昨日の続き、後半部分から
ラストまでの場当たりをおこなう。

芝居の後半は、私演じる
「住道純也」(すみのどうじゅんや)の
出番が多いのだが、そのまま私が
ステージの上に役者として上がって
場当たりをしてしまうと、
舞台の色合いやライトチェンジの
タイミングが客観的に見られない。

そこで、私と出番の被らない
小川君を代役として、
本来私が立つべき位置に立ってもらい、
私は自分が役者として
出ているシーンの照明を客席から観てみる。

どのシーンもイメージ通りの照明で、
すごくかっこいい!

ただ・・・おかしかったのが、
私の一番の決め台詞で、
すごくかっこいいピンスポットの
当たるラストシーンの時、
代役の小川君はラストでウサギの
着ぐるみを着て登場する関係上、
その私の決めセリフを言う
場面でウサギの胴体のまま、

「渋い住道(すみのどう)」

の代役をすることになった。

音楽も照明も、代役を演じる
小川君の顔もすべてが渋いのに、
ウサギの胴体姿の住道・・・

かといってウサギを脱ぐと、
彼の着替えが大変になるし、
仕方がないのでウサギのまま、
場当たりをおこなった。

その場当たりも大詰めを迎える。
ラストの照明で「目つぶし」
という手法を使うのだが、
客席が幻想的にまぶしく輝き、
その光と同時に聞こえてくる
1万人の大歓声の効果音とのコラボが、
私の予想を遥かに超えたものとなり、
鳥肌が立ってしまった。

ラストの歌と踊りのエンターテイメントでの
照明の合わせや音合わせも順調に進み、
1時間の休憩後、メイク衣裳に身を
包んだ役者達と共に、ゲネプロという
照明も音響も役者の芝居も何もかも、
本番と同じようにおこなう
最終リハーサルも問題なく終えて、
ついにお客様ご入場の時間となる。

改修工事で新しく設置された
楽屋にある液晶画面の大きなモニターに、
客席と舞台の様子が鮮明に
写しだされているので、
みんな画面に釘付けとなり、

「誰々が来たな!」
「ありゃー皆さんお揃いで
来てくれたんだ」

等々言い合う。

しかし、どんどんと埋まっていく
客席を観ているうちに、
皆さん緊張してきたのか、
自分の化粧前(鏡の前)に座り、
鏡に映るメイクを施した「役の人物」と
にらめっこしている役者や、
心を落ち着けるため、緞帳幕のしまった
舞台セットに腰を下ろし、
ブツブツとセリフを言っている者、
ストレッチをしている者もいて、
否応なしにも本番初日の緊張感が高まる。

開演10分前、緞帳幕の内側に
関係者一同が集結して円陣を組み、
右手をのばして、手のひらを重ね合わせ、
劇団ふぁんハウスの第1回公演から
ずっと続けている風習?である

「いくぞー」
「おー」

という掛け声で、各々が上手の袖、
下手の袖、楽屋などに散らばり、

1ベル→ボイスエマノンさんの
素晴らしい場内アナウンスに続き、

劇団ふぁんハウス
第26回公演「夢のカーテンコール」
の幕が上がった。

我々も緊張しているけれど、
お客様も緊張しているんじゃないの?
っていう空気を感じるが、
板さん演じる「村長」や「今いくぞう」が
出て来たあたりから、
お客様がリラックスされて来たので、
舞台上の役者も、そんなお客様に
乗せられながら、芝居はテンポよく進み、
無事終了。

ただ芝居は無事に終了したけれど、
音声ガイド操作を行ってくれた
美和を紹介するのに、
私は「音声ガイド、平野美岐!」と
堂々と美和の姉の名前を言ってしまい、

「団長、美和ちゃん!」

とメンバーから指摘を受け、
慌てて訂正をしたのが、大きなミス?
と言えばミスかな。

終演後、ロビーにてお客様から

「自分の娘の名前をまちがえちゃー
いかんでしょー」

と冷やかされたが、
ロビーに溢れ帰るお客様の笑顔が、
初日の成功を物語っていたのでした。