Page3–「立ち稽古」


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PDF 団長の独り言 2015.03.08

3月8日(日)「立ち稽古」

昨日から、立ち稽古を行った。
お芝居の稽古というのは、
大きく分けて「読み合わせ」と
「立ち稽古」に分かれる。

「読み合わせ」というのは、
全員が座ったまま、役の人物の
イメージを膨らませ演じる稽古の事で、

「立ち稽古」というのは、
稽古場という空間を
本番のステージに見立てて、
動き回りながら演じる稽古の事をいう。

本当はねぇ・・・
あと2、3回は読み合わせをして、
私の演出的なイメージを
役者の皆さんに伝えてから、
立ち稽古に入りたいところ
ではあるのだが、

なにせ週に2回しか
稽古を行わない劇団ふぁんハウス、
今回は時間がない。

そこで、早々に実践的な
立ち稽古を行うことにしたのだ。

稽古を開始する前、
まずは出来立てのホヤホヤの
製本された台本授与式から。

アマティーがピアノで演奏する
「表彰状のテーマ」(というのかな?)が
厳かに流れる中、
私は一人、一人の名前を呼び、
演出席まで来たメンバーにお辞儀をして、

「がんばりましょう!」
「よろしくおねがいします。」

等の声を掛け、台本を手渡す。

「卒業証書授与式」を、
イメージしていただければいいのだが、
こんな大袈裟な事をしている演劇団体は、
星の数ほどある日本の劇団の中でも、
おそらく
劇団ふぁんハウスだけかもしれない。

では、
何故こんな事を続けているのか?

といえば、

「台本は役者にとって命!」

「台本を粗末に扱うやつは
ろくな役者じゃない!」

という、
今時流行らない「精神論」に
私がこだわっているのと、

「みんなで無事ゴールできますように!」
「最高のお芝居になりますように!」

という願いを込めて、
一人、一人の目を見て、
大事な台本を手渡す行事を継続している。

「馬鹿らしい」ことなのかもしれないが、
でもね、劇団ふぁんハウスは
そういうことにも、こだわり続けて
17年目の劇団なのだから、
初めて参加する皆さんにも、
協力していただいているのだよ。

そんな「授与式」を終えると
気持ちを切り替え、
始めにホワイトボードに、
私がイメージする大まかな舞台図面を描き、
皆さんが芝居を行うフィールドが、
どのようなものなのかを
把握してもらい、大まかな動きを
決めていく立ち稽古を、
プロローグから順を追って行っていく。

初めのうちは、

「上手から出てきてそこに座ります」
「ここで丸くなってください」
「雀はここに立つ」等、

動きをつけていっていたのだが、
どうしたものだろうか?
「座る」と言われれば、
なーにも考えず、
なーんの工夫もしないで
ただ座っているだけ。
「ここから出てくる」と言っても同じ。
その上、全員が集まるシーンでは、
まるで烏合の衆・・・。

それにセリフを語ってもらうと、
無意味にただ吠えているだけ。

いい加減、
センスのない役者達を見ていて、
段々イライラしてくる。

素人の皆さんに、
初めて「お芝居」というものを
「教えている」
わけじゃないんだから。

今、目の前で
「芝居ごっこ」をしている役者達は、
つい先日、
大盛況の中、何百人ものお客様に、
大きな感動と元気と笑顔を
お届けした役者達なのに、
演目が変わり、新たな芝居の
稽古を始めたら、なんだよ・・・
このざまは。

イライラを通り越して、情けなくなり、
完全にやる気のなくなった私は、
もう動きをつべこべ言うのもバカらしく、
「お好きにどうぞ」とばかりに、
台本を放り投げ、みんなの
「お芝居ごっこ」に口出しをせず、
呆れ顔で静観した。

はーぁ・・・
いくら最初の立ち稽古とはいえども、
何故にもっと積極的に動かないのかな?

「私はこう演じたい!」

「こんなキャラクターで
やってみたい!」

「ここはこういう
動きでいきたい!」

という工夫はないのだろうか?

どうして何も用意してこないのかな?
箸の上げ下ろしまで指示されなきゃ、
どーすることもできないというほど、
キャリアがないわけじゃないだろうにねぇ。

しかし、
ここで投げ出すわけにはいかない・・
こんな状態でも、5月までに、
劇団ふぁんハウスらしい
芝居を完成させねばならないからね。

「最初はこんなもの、
いつものことだ・・」

と己に言い聞かせ、
皆さんには
今一度、プロフェッショナル魂を
自覚してもらいつつ、
今日のところは、
手取り足とりの稽古を
淡々と行ったのでした。