Page13–「おごりと怠慢」


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PDF 団長の独り言 2015.05.17

5月17日(日) 「おごりと怠慢」

稽古期間が今回はとても短かったので、
ちょっぴり心配をしていたけれど、
どうにかこうにか形になったので、
なんとなく「大丈夫だな・・・」と
思い込んでいた。

そんな時、本番の様子を撮影していただく
ビデオ制作会社さんにお渡しするための
通し稽古を収録したVTRを見てみたら・・・

うひゃー!あるわあるわ、
各役者の台詞を言う際の癖や間の悪さ。

特に気になったのが、
台詞をブツブツと切りながら喋るところ。

一気に言えば済む台詞を、
なんでそこまで台詞を細切れにして
喋るかな?ってくらい、
切りまくっている・・・

おかげで、芝居のテンポはガタガタで、
本来の台詞の意味が伝わらないばかりか、
声も甲高く、誰にその台詞を伝えているのか
さっぱり分からないキツイ声で
話しをしているので、
感動的な場面も、とてもわざとらしい。

こりゃー、確かに稽古見学に
お越しになった方も寝てしまうわ。

普段の稽古でも、みんなの芝居を
注視していたつもりなのだけど、
演出だけではなく「役者」を兼ねている私は、
客観的な観点で見ることが
出来ていかなったのだなぁーと実感し、
シーンごとにダメを抜き出し、
各役者に個別でメールにて
送ったのが先週の木曜日。

そこで昨日の土曜日の昼の部の稽古では、
まずダメ出しを行った部分を
徹底的に修正するための
抜き稽古を行った。

素直にダメが通る役者もいるのだが、
思い込みが激しくて、
どーしても私の意図する芝居が
できない役者もいて、

昼の部の稽古は、演出家対役者の戦いを
4時間ぶっ通しで行えば、
精神的にも肉体的にもクタクタ・・・。

それでも、
どうにかこうにか形になったので、
1時間の休憩を挟み、
夜の部の稽古で通してみると、
全体的に「力み」が消え、
「希望の光」が見えた!

よーしよーし!と思い、翌日曜日。
舞台監督の高橋さんを迎えての
「通し稽古」を行えば、

出だしは、
みなノリノリでいい感じだったのに、
後半は、またしても
これでもかぁーの「ぶつ切り台詞」と、
感情もビジョンも伝わらない
軽薄な台詞のオンパレード。

台詞もとちるし、出とちりもあるし・・・
当然、テンポもガタ落ち。

あまりの情けなさに、
私は芝居を続ける気力を失い、
怒りを通り越して悲しくなり、
もう途中でやめたくなったけれど、
舞台監督の高橋さんが
芝居のきっかけやタイミングを
計る大事な通し稽古なので、
なんとか最後までキチンと芝居を通し切った。

昨日、「希望の光」が見えた
芝居を披露してくれたのだから、
決して皆さん、出来ないわけじゃない。
ようは芝居を舐めていたって事。

演劇用語に「2日目芝居」って言葉がある。
本番の初日というのは緊張して緊張して、
全身全霊を傾け、集中して公演に臨むので、
大抵、いい感じで演じ切る事ができる。

ただその「達成感」が、
「油断」を生んでしまい、
初日で大成功を収めた翌2日目の本番は、
ガタガタになってしまう現象が
プロの世界でもあるのだが、
その現象の事を「2日目芝居」という。

芝居というのは恐ろしいもので、
ちょっとした気の緩みやおごりがあると、
とんでもないヘンテコな芝居になってしまう。

今日の昼の部の通し稽古は、
まさに「2日目芝居」だったのだろうね・・・。

高橋さんには大変申し訳ないことをしたが、
私のイライラを汲み取って
くれていたのだろう・・・

昼の部の通し稽古終了後、
芝居の内容等には一切触れず、
何事もなかったかのように、
打ち合わせを行ってくれた。

それにしても、
とにかく悲しくて情けなかった・・・。
私が魂を込めて描いた役を台詞を、
あそこまで無駄に、そして横着に
演じる役者達のおごりと怠慢さが・・。

もちろん、各役者達も、
私の言わんとしていることは
理解していたので、
夜の部の通し稽古が開始する
直前までの約1時間、
緊張感漂う中、ビッシリと抜き稽古を行い、
そして音響の野中君が「効果音」の音源を
持ってきてくれた中で通し稽古を行えば!

芝居はテンポよく進み、なんと!驚いたことに、
上演時間が昼の部よりも10分も縮まった!

いやぁ・・・
いかに今まで間延びをした芝居や、
緊張感のないだらしない芝居を
していたのかって事だね。

本番まで2週間ちょい。
この緊張感を保ちつつ、テンポある芝居で、
あとは役の人物の心情をキチンと
表現すれば、お客様にお見せできる
レベルに達成する。

皆の最後の追い込みに
望みを託す団長でありました。