Page16–「搬入・仕込み」


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PDF 団長の独り言 2015.05.28

5月28日(木)「搬入・仕込み」

本番前日の朝6時半、劇団倉庫に到着すれば、
すでに番松さん、千秋ちゃん、けいちゃん、
和音さん、そして舞台監督の高橋さんの姿。

「おはようございます!」と挨拶を交わし、
空を見上げれば、初夏を思わせるような青空。

「幸先がいいなぁー」

なーんて思っているとトラックが到着。
早速、倉庫内にある大道具、小道具、
そして受付セットなどをトラックに積み込む。

劇団メンバーが慣れたということと、
事前に「今回、運び出す物」をピックアップして、
キチンと倉庫内に収めていたっていうこともあり、
トラックへの積み込みは順調すぎて、
やや遅れてくる予定だった、
さとちゃんと出口さんがやってきた時には、
すでにトラックは劇場に向けて出発をした後。

「もうトラックは行っちゃったよー!」

と番松さんが言えば、
「またまたー」と冗談として受け止めていた
さとちゃんだが、
本当にトラックが出たことが分かると、
やや罰悪そうに笑う。

ただ、始発で来てくれた、
さとちゃんと出口さんには
申し訳なかったなぁ・・・と思いつつ、
平野カーと千秋カーに分乗したメンバーは、
赤坂の街へと出発。

平日の通勤ラッシュと重なったので、
首都高速は渋滞していたけれど、
それでも時間に余裕があるので、
全然ストレスを感じることもなく赤坂に到着。

搬入開始時間まであと1時間ほどあったので、
各々朝食タイム。

私は立ち食い蕎麦を食べ、
それから各メンバーと共にTBSの前で、
たわいもない話をして時間調整を行い、
いざ劇場へと向かえば、
すでに劇場から参加する
すべてのメンバーが集まっていて、
予定開始時刻よりやや早いけれど、
搬入をスタートさせる。

板橋区立文化会館に比べたら、
かなり搬入しづらい劇場なのだが、
それでもマンパワーで、
ガンガンと劇場内に道具類を運び入れ、

「楽屋で作業するチーム」
「舞台面の建て込みを行うチーム」
「受付周りをレイアウトするチーム」

に分かれ、
みんな一斉に作業を開始する。

誰がどこのセクションで作業を行う!
なーんてことは、特に指示していないのだが、
なんとなくいつも各セクションに分かれて、
作業を開始しているよね。

そんな中、意外だったのは、
「レイ」役の響香(きょうこ)ちゃん。

小さなガチ袋を肩から下げて、
舞台美術の翠さんの指示で
パネルに布を貼り付ける作業を、
「タッカー」という木工や布等を
針で固定する工具を用いて、
まるで大道具さんのように
慣れた手つきで行っていた。

そればかりか、
建て込みも要領を得た動きで、
図面を見ながら、何をどこにどう建てて
いくのかっていう作業もお手の物って感じ。

「きっと小劇場に出演していた頃に
鍛えられたんだろうなぁー」

なんて思いながら、
舞台監督の高橋さんや、
舞台美術の翠さんの指示の下、
私もえっちらおっちら、
みんなと一緒に、
素敵な舞台セットを完成させた。

舞台セットが決まれば、
今度は照明さんの出番。

役者の立ち位置、ベンチの位置、デスクの位置、
居酒屋のカウンターの位置を、
演出家である私が細かく指示を出し、

その位置に合わせて照明のあたり具合を調整、
それから場面に応じての明かり作りが始まる。
(シュート作業という)

誰もいないシーンとした舞台。
そこに、土門さんが色の具合を
指示する声だけがこだまする。

その都度、舞台は
色取り取りに変化をするのだが、
綺麗なんですよ。

シュートも後半になると、
今度は音響の野中君によるサウンドチェック
が始まる。

様々な素敵な洋楽が、
あちらこちらのスピーカーから流れ始め、
スピーカーのチェック、マイクのレベルチェック、
アマティアズのシンセサイザーのレベルチェック
などが矢継ぎ早に行われ、

さっきまでシーンと静まり返って、
照明が綺麗に変化していただけの
舞台に活気がみなぎり、
我々のテンションも上がってくる。

そうこうしているうちに、
気がつけば午後7時。

舞台セット、照明、音響が
決まったところで、最後に役者の登場。

「場当たり」という、稽古場では絶対にできない
実際の舞台セットの中で、実際の照明変化や、
音響効果を入れながら、役者の立ち位置、
場面転換時の動きなどを合わせる、
もっとも神経を使う作業を行えば、
これまた特に大きな問題もなく順調に進み、
クライマックスの部分だけ残し、
この日の作業は無事終了したのでした。